アシアナ航空賞

母と

もこもこ 42才(女性)
“5年生存率”。このフレーズにひどく衝撃を受けた。5年前、母が大病を患った。幸い、手術は成功したものの、完治できたわけではない。
『ものより思い出』という母のために思いついたのが韓国旅行だった。母・私・小学生の息子達三世代でソウルの旅に繰り出した。

初の飛行機・初の海外に母は大喜びだった。ツアー参加で、母と同世代の女性客も多く、場にもすんなり溶け込めていた。
アジア圏の海外旅行は私自身初だった。やはり同じアジア!食が満たされる旅行がこんなにも幸せなのかと感動した。プルコギ、ピビンバ、豆腐チゲ。何もかも『アジュマシッソヨ』。身体喜ぶ料理に大満足だった。

華やかな色づかいに感嘆した昌徳宮、ダイナミックな水原華城で歴史の息吹を感じ、窯元見学の後、青磁の豚さん親子の置物を購入した。眠らない街、ソウルの夜は、子守係を交代しながら母は初日ソウルタワー搭乗に、翌日は私が本場エステに出かけた。細い絹糸で顔のうぶ毛をぬいてもらい、泡もこもこのお風呂で温まり、日本と一味違うエステで“キレイ”が実感でき、心身ともに癒された。

息子達は明洞でなぜか日本のアニメグッズを、コンビニで日本とはちょっと違うお菓子をにわか金持ち気分に浸れるウォンでの買い物を楽しんだ。
「アンニョンハセヨ」「カムサハムニダ」「ブタケヨ」。3泊4日ともなれば、簡単な韓国語も自ずと覚え、韓国通気分に酔いしれた。

この旅ですっかり韓国グルメのとりことなり、以来我が家のレシピに韓流が追加された。チゲ、ナムル、サムゲタンは私の十八番だ。
上京の折は、必ず新大久保・コリアンタウンに訪れ、韓国の雰囲気を味わう。熱々ホットク、甘辛トッポギは本場でなく、こちらでの出会いだった。
遠くて近い韓国!嬉しいことに母も『ケンチャナヨ』。今度旅する時はどんな出会いがあるだろう。
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