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福光美術館を堪能してきました。

2021年4月8日

今月から木曜graceに新コーナー「シン・トヤマ」がスタートしました。

北陸新幹線開業以降、富山の新スポットが続々と登場しています。
その一方で、昔から長く愛されるお馴染みの富山も見直されています。
コロナ禍を経て地元富山を楽しむ人も増えていますよね。

このコーナーでは、新しい富山の他、
「芯」となるお馴染みの富山もあわせてご紹介していきます。

ラジオをお聞きの皆さんからの「シン・トヤマ」情報もお待ちしています。


さて、今週は皆さんにぜひ行っていただきたい
昔からある富山のスポット「芯富山」をご紹介します。

南砺市にある福光美術館です。

山の中の自然に囲まれた美術館で、
先日訪れた時もウグイスをはじめ様々野鳥が鳴いていました。

館内には、福光に疎開していた版画家の棟方志功や
福光で生まれた日本画家の石崎光瑤の作品が常設展示されています。

中でも私が好きなのが石崎光瑤の「雪」という作品です。

木の枝に雪が積もっている絵なのですが、
枝が垂れ下がっている様子から
北陸地方の水分を含んだ重たい雪であることが分かります。

また雪は何度も厚く塗り重ねているため、
いかにも重たそうなのが伝わってきます。

今にも木から雪が落ちてきそうな気配もあって、
白を基調としながらも躍動感が感じられる、
私のお気に入りの作品です。

まだ見たことのない富山の皆さん、
ぜひ間近でその迫力をご堪能ください。

***

そして、福光美術館と言えば、現在、話題の企画展を開催中です。

「アートって何なん? ーやまなみ工房からの返信ー」です。

この企画展が大人気で、来場者数は例年の倍以上なんですって。
年齢層も幅広くリピーターの方もいるそうです。

この企画展は、社会福祉施設「やまなみ工房」
生み出された作品を展示しているものです。

作品を制作しているのは、施設を利用している障がい者の皆さんで、
もともとは美術とは無関係だったそうです。
では、スタッフが教えたのかというと、
スタッフも美術を学んだことはないのだとか。

でも、彼らの作品は今、世界で高い評価を得ています。

そこで、企画展のタイトルにもなっている
「アートって何なん?」となるわけです。

そもそもアートとは何なのか。
その答えと出合えるのが、この企画展です。

展覧会を企画した学芸員の土居彩子(どい・さいこ)さんによると

「アートとは作品そのものというより、自分の好きな世界を貫き通すこと」

だそうです。

どの作品も制作者の思いのままに作られており、
他の人の手が加わることは無いそうです。
まさに純度100%の作品です。

様々な形や色のボタンが縫い付けられた「ボタンの玉」

ずらりと並ぶお地蔵さん

様々な色の糸で表現された「ゲルニカ」

など唯一無二の作品ばかりです。

館内では制作風景を動画で見ることができるのですが、これがとても良かったです。
約8分くらいですので、ぜひご覧ください。

テレビの中の皆さんはキラキラの瞳で、とても楽しそうに制作していました。
また、色を塗るにしても線を描くにしても、迷いが無いのが印象的でした。
すうっと勢いよく筆を走らせていくさまの、何と気持ちのいいことか。

ここまで好きなものと出合えるなんて羨ましいと思ったのですが、
実は、やまなみ工房のスタッフが様々な画材を用意して、
一人一人に合ったものを本人に見つけてもらっているのだとか。
やはりしっくりくる画材と出合った時は嬉しそうなんですって。

でも、全員がすぐに見つかったわけではなく、
中には10年かかってようやく出合えた人もいたそうです。

また、制作には口を挟まず表現は全て任せているそうです。
だからどこまでものびのびと好きな世界を表すことができるのですね。

ぜひ皆さんも会場で作品を見て、
「アートって何なん?」の答えを見つけてみてください。

また、会場までの通路に飾られた制作者の皆さんの顔写真もご覧くださいね。
この写真がこれまたとてもいいので。

ところで、福光美術館でこの企画展を開催した理由の一つは、
版画家の棟方志功とも通ずるところがあるからだそうです。

企画展を見た後に常設展の棟方志功の作品を見ると、
皆さんもきっと納得されると思います。

ですから企画展だけでなく、常設展も必ず鑑賞してくださいね。
私のイチオシ、石崎光瑤の「雪」もお忘れなく〜。

また、2階で開催中の企画展
「beのコトと人とこの美 Art session in Nanto」もあわせてどうぞ。
こちらでは富山を含む9県から集まった「アール・ブリュット」を紹介しています。

アール・ブリュットとは、
美術の教育や既成概念の影響を受けず、
衝動のままに表現された作品のことです。

日本では「障がい者のアート」と言われることが多いものの、
それだけを指すわけでは無いそうです。

やまなみ工房の作品は、同じ施設で生まれているのに対し、
こちらは個々の家で生まれていることもあり、よりディープ感があります。

そのほか、4月18日(日)には、「じょうはな座」で
やまなみ工房ドキュメンタリー映画「地蔵とリビドー」の上映会が、
26日(月)には、いのくち椿館で
やまなみ工房の山下施設長の講演会がありますので、
これらもあわせてお楽しみください。

◎福光美術館のサイトは コチラ

帰りに新富山スポットにも寄ってきました。

去年9月にオープンしたスターバックスコーヒー 射水歌の森運動公園店です。

店内に飾られているアール・ブリュットを見たかったのです。

作品は高岡市のNPO法人 障害者アート支援工房
「COCOPELLI(ココペリ)」の協力のもと制作されたそうです。

鮮やかな色彩の作品を見ながらコーヒーを飲んで過ごすひととき。良い時間でした。


今の時代、人の顔色をうかがってばかりで、
自分の本当の気持ちがよくわからなくなってきた…
という方もいるのでは?

そんな皆さんは、ぜひ彼らの作品に出合ってみてください。
心、潤いますよ。

yukikotajima 10:43 am