11『告白』
2009年4月12日
6日の月曜日に『2009年本屋大賞』が発表になりました。
「売り場からベストセラーをつくる!」ことを目的に、
全国の書店員の投票で決定するもので、
書店員のみなさんが、いちばん、売りたいと思う本を選んでいます。
いつもたくさんの本を読んでいらっしゃる本好きの皆さんが選んだ本とあれば、
面白くないはずがありません。
私も毎回チェックを欠かさず、大賞をとった作品は、ほぼ読んでいます。
過去には、
『ゴールデンスランバー(伊坂幸太郎)』、
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン(リリー・フランキー )』
『夜のピクニック(恩田 陸)』
などが選ばれています。
今年の大賞は、『告白(湊かなえ)』が選ばれました!
私も、早速、読んでみました。
『キノコレ』でおなじみの、紀伊國屋書店富山店の朝加さんは、
「面白いけど・・・こわい」と、含みを持たせた感想でしたし、
本の帯に描かれた感想には
「読中感も読後感も最悪なのに、先が気になる」
「ゾクゾクで始まり、ゾクゾクで終わる」
と書かれていたのです。
これで、読まずにいられますか?
読まないわけにいかないじゃないですか!
ということで、早速、本のページをめくってみました・・・。
中学校の女性教師が、終業式後のホームルームで、
クラスの生徒たちに、ある事実を告白するところから、物語はスタートします。
娘を亡くした、その女性教師は、
「娘は事故ではなく、このクラスの生徒に殺された」と突然、告白します。
そして、犯人である少年2人ををA・Bと呼び、
クラスの皆に、2人がどのように殺したのか、説明していきます。
本を読んでいる私は、すっかりクラスの1人です。
先生の恐ろしすぎる告白に、
思わず、つばを飲み込んだ音が教室中に響き渡ったのではないか、
と思い、胸がドキドキしたほど、本の世界に没頭していました。
先生の告白は、犯人が誰かを発表しただけではありませんでした。
その犯人に対して・・・。(この続きは、本を読んでね〜!)
この作品は、モノローグ形式で進んでいきます。
先生の告白からスタートし、「クラスメート」「犯人」「犯人の家族」が、
それぞれの告白をしていきます。
ある事柄に対して、そこにいる全員が、同じ感想を持つとは限らないわけで、
「普通は〇〇でしょ?」といういう考え方は、成り立たない。
この本を読み終えた後に、私が感じたことです。
私は、恥ずかしながら、
自分は、いたってフツーの感覚のフツーの人間だと、ずっと思ってきました。
だから、自分の考えは、フツーだと。
でも、よく考えれば、それこそ、独りよがりな考えで、フツーじゃない。
「私は、こう思う。だから、相手もきっと同じように思っているに違いない。
なんで、私と同じように思わないの?気付かないの?馬鹿じゃないの!」
きっと、他人と関わる中で、誰もが皆、一度は思ったことがあるのではないでしょうか?
最近よく耳にするのが「誰も私のことをわかってくれない」。
もちろん、私もそのように思ったことは、たくさんあります。
では、逆に、あなたは、自分以外の他の人のことをわかりますか?
「わかる」と答えた人は、
それは、あなたが「わかっているつもり」になっているだけかもしれませんよ〜。
この本は、様々な人が、ある1つの事柄について、それぞれの告白をしていきます。
それも、皆、自分に都合のいい解釈で。
「思い込み」が、ここまでこわいとは思いませんでした。
あ!私の本の解釈も思い込みかもしれません(笑)。
ついつい、熱くなってしまったため、長文の感想になってしまいました。
最後まで読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
ぜひ、この続きは、実際に本を読んでみてください。
あ、でも、気持ちが落ち込んでいる時は、なるべく避けた方がいいかも・・・。