『恋愛未満』
2020年7月22日
突然ですが、あなたは最近、誰かにときめきましたか?
いや、もうずっとときめいていない…という方もいるかもしれませんね。
でも、映画の登場人物に対して「この人、素敵だな」と思ったり
ご飯を食べに行ったお店の店員さんの笑顔に
一瞬、キュンとなったりすることはあると思います。
恋ではないけど、心がちょっと動くような瞬間ってありますよね?
今日ご紹介する小説は、篠田節子さんの『恋愛未満(光文社)』です。
本の帯には、こうあります。
日常のあらゆる所に存在し、
恋愛に至るようで至らない、
男女の微妙な繋がりを
巧みに描いた5つの短編集。
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どんなお話があるのかご紹介しましょう。
夫が結婚後も頻繁に学生時代の友人たちと遊んでおり、
その中に一人、女性がいるのが許せない専業主婦の物語では、
妻は男女の友情はありえないと思っているものの
夫はそうは思っておらず、その女性と一緒に遊ぶことをやめてくれません。
そして、妻は夫にある提案をし、夫はそれを受け入れます。
いったいどんな提案をしたのでしょうか。
***
また、アメリカに住む娘に会いに行った母の物語もあります。
私はこの母の物語が好きです。
母は英語はほとんど喋れないのに、
とある理由から一人で電車に乗って娘の町まで行くことにします。
ところが電車はなかなかやってきません。
すると、同じく電車を待っていた男性から、日本語で話しかけられます。
そして、電車がくるまでの間(なんと4時間!)、彼と一緒に過ごすのですが、
この物語がキュンとくるのです。
言葉もわからない外国で電車もいつくるかわからない中、
日本語で話しかけられたら、そりゃあ嬉しいですよね。
それも、ただのお喋りでは終わらないのです!
彼は突然ある行動に出るのですが、
このお話だけ映画にしてもらいたいくらい素敵なお話でした。
それこそ恋愛未満なのだけど、
この日の出来事は、ずっといい思い出として残るんじゃないかな。
さて、電車を待っている間、彼と一体何があったのでしょう?
気になる方はぜひ本を読んでみてください♪
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他にも市民吹奏楽団に所属する50代の独身男性や
離婚後、実家に戻ったら母が入院してしまった女性などが出てきます。
5編とも大変面白かったです。
いちいち人には言わずとも、きっと誰もが
恋愛未満の感覚を味わったことがあると思います。
そんな微妙な心の動きが丁寧に描かれた短編集でした。
また登場人物がみな、どこにでもいそうな人たちなのも良かったです。
女性同士の会話もリアルで、
ここに私が混ざっていてもおかしくないなと思ってしまった程でした。
大人の皆さん、こっそり自分と重ねながら読んでみてはいかがでしょう?
恋愛未満の物語もなかなかいいものですよ!
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