タイガー理髪店心中
2020年2月12日
2月22日の気まぐれな朗読会まであと10日となりました。
気まぐれな朗読会は、
気ままプランパーソナリティの廣川奈美子さんと
graceの私、田島悠紀子でお届けする朗読会です。
◎気まぐれな朗読会の詳細は コチラ
3部構成で1部は、「令和」の出典『万葉集』を
2部は、ゲストをお迎えして楽しくお届けします。内容はヒミツ!
3部は、廣川さんと私がそれぞれ作品を朗読します。
私が3部で朗読するのは、林芙美子さんの『狐物語』です。
今日のユキコレでご紹介する本は、
林芙美子さんの本ではなく、
林芙美子文学賞を受賞した作品です。
紀伊國屋書店で本を探している時、
本の帯に書かれた「林芙美子文学賞受賞作」を見て、
「読みたい!」と思ってしまったのでした。
その本はこちら。
『タイガー理髪店心中/小暮夕紀子 (朝日新聞出版)』
林芙美子文学賞の選考委員の
井上荒野さん、角田光代さん、川上未映子さんに
絶賛されての受賞だったそうです。
こちらには2つの作品が収録されています。
まず、表題の「タイガー理髪店心中」。
こちらは、寂れた町で「タイガー理髪店」を営む老夫婦の物語です。
理髪店にお客様がやってくることは稀で、
理髪師の夫はほぼ毎日、お店の前の椅子に座って町の様子を眺める日々です。
最近、妻が忘れっぽくなったと思っていたら
ある日、発作的に豹変してしまいます。
そんな様子に夫は戸惑います。
のんびりとした雰囲気から一転、後半は緊張感が漂います。
ぜひドキドキしながら本のページをめくってみてください。
・
もう一つの作品は、「残暑のゆくえ」です。
こちらは、小さな食堂を営む70代の女性のお話です。
彼女の趣味は、幼いころに亡くなった母のことを毎日思い出すこと。
なぜ母はあの日あんなことを言ったのか。
母はあの時、どんな気持ちだったのか。
毎日様々な想像をしては、喜んだり落ち込んだり。
そして、ある日、彼女は過去に母と住んでいた町に行ってみることにします。
こちらのお話もどこかのんびりとしつつも緊張感が漂っています。
いずれも短い作品ですが、あっという間に作品世界に引き込まれます。
そして、絵が見え、音がし、臭いも漂ってきます。
本を読んでいると「私、今、本の中にいる」と思うことがあるのですが、
この本もまさにそうでした。
いずれも短編ですが、読みごたえがありました。
・
そして2編とも年老いた人々のお話のため「戦争」が出てきました。
令和という新しい時代になり、
これから先、どんどん戦争を知る世代が少なくなっていきます。
戦争がずっと昔の過去の出来事のように思えるけれど、
でも、実はまだずっと苦しんでいる方もいるのですよね。
戦争が人々の心にどんな影響を与えたのか。
この本を読んで胸が締め付けられました。
また、戦争だけでなく、
人には何歳になっても忘れられないことがあるものだなと。
嬉しいことはもちろん、嫌なことや辛いことも。
人から受けた嫌な出来事も。
自分がしてしまったひどいことも。
色々な思いを抱えながら生きていくものなのですよね。
でも、年を重ねることで、
過去には気付けなかったことに
やっと気づいたり理解できたりすることもあります。
長い時間がかかってようやくわかったこと。
あなたにはありますか?
色々なことを考えさせられた2作品でした。
読んで良かった!
***
<紀伊國屋書店富山店からのお知らせ>
美しいビジュアルを豊富な資料とともに、
一冊ごとに一つのテーマを深く掘り下げて紹介している
「別冊太陽」のフェアです。
店内中央イベントコーナーで開催中!
◎詳細は コチラ
プロの方向けの専門書から
一般の方にも役に立つレシピや
料理エッセイ、辞典まで
様々な専門料理書が勢ぞろいしています。
和・洋・中の様々な専門料理書を豊富な種類で展開中!
場所は、実用書売場です。
・
<紀伊国屋書店富山店>
住所: 富山市総曲輪、総曲輪フェリオ7F
電話番号: 076-491-7031
営業時間: 10:00〜20:00
店休日: 2月26日(水)