歩道橋シネマ
2019年12月11日
今日ご紹介する本は、恩田陸さんの新作です。
『歩道橋シネマ/恩田陸(新潮社)』
恩田陸さんと言いますと、
『蜜蜂と遠雷』が直木賞と本屋大賞を受賞し話題となり、
この秋には映画化されました。
ラジオでも小説をご紹介しました。
◎私の感想は コチラ
新作の『歩道橋シネマ』は、恩田さんにとって約7年ぶりの短編集です。
今回はミステリーやホラーが多めなのですが、
恩田さん自身、10代前半はそういったジャンルの短編集をよく読んでいたそうです。
全部で18作品が収録され、
最後に恩田さん自身の「あとがき」もあるので、
それぞれの作品が生まれた背景などもわかります。
短編集は紹介が難しいのですが、
この作品もどのお話も世界観が独特すぎて
紹介が大変難しい…。(笑)
その中から私の好きなタイプの作品を2つ、
かる〜くご紹介します。
***
『楽譜を売る男』
4日間おこなわれた弦楽器のイベント会場で
楽譜を売っている白人男性の物語です。
彼を目にした主人公は、彼が何を考え、どんな人なのかを想像します。
彼は、置き物のように静かに座っていたそうです。
スマホも触らず、接客をするわけでもなく、ただじっと座っているだけ。
いったい彼は何者なのか。
楽譜は売れているのか。
主人公の妄想はどんどん膨らんでいきます。
果たして彼は…。
という物語です。
私もよく人を観察したり、勝手に想像したりするので、
この主人公の感覚はよくわかるなーと。
彼が何者なのか気になる方は、ぜひ本を読んでくださいね。
***
『歩道橋シネマ』
表題作です。
ある歩道橋では、様々な建物の偶然な組み合わせにより、
巨大な長方形の囲み枠に見えるのだそうです。
その大きな額縁が見える歩道橋に様々な人がやってきては、
じっと見つめているだのとか。
いったい何を見ているのか。
どうやらこの歩道橋にはあるうわさがあるようで…。
ああ、もうこれ以上は言えない!
短編はお話が短い分、すぐにネタバレになってしまうのです。
何かとあわただしい年末です。
でも、本を読みたいという方に短編集はオススメです。
毎晩寝る前に一話読むだけでも満たされると思います。
でも、ホラーもあるので、なかなか寝付けないという日もあるかも!?(笑)