あなたの右手は蜂蜜の香り
2019年6月12日
あなたは「思い込み」をよくするほうですか?
私は仕事上、「思い込み」をしないように心がけています。
というのもミスのほとんどは、この「思い込み」が原因であることが多いからです。
あなたも「私は○○だと思っていたのですが…」
なんて言い訳をしたことはありませんか?
でも。
私は仕事をする上では思い込みをしないよう意識をしているけれど、
普段はどうかと聞かれたら、思い込みだらけかもなあ。。。
相手の気持ちを考えて行動する時、
それが当たっていればいいけれど、
全く見当はずれなこともありますよね。
例えば、良かれと思ってやったことが裏目に出るような。
でも、相手が本当に望んでいたことなら、きっと喜んでもらえますよね。
相手の気持ちをちゃんと理解できているのか、
それとも独りよがりな思い込みなのか。
それによって相手の反応は大きく異なります。
***
今日ご紹介する小説はこちら。
『あなたの右手はハチミツの香り/片岡翔(新潮社)』
本の表紙には、傘をさして立っている熊のイラストが描かれています。
一見、外国の本かな?と思えるようなシンプルな装丁です。
私が今回なぜこの本を選んだのかと言うと、
今がちょうど雨の季節だからです。
傘をさしている熊のイラストに
主人公の名前が「雨子(あめこ)」で、
おお、この本こそこの季節にぴったりではないか!
と思い、読んでみることにしました。
主人公の雨子は「思い込み」を嫌う女の子です。
知らないことは何でも知りたいと思い、
どんなことでも「どうして?」と聞きます。
例えば、小学三年生のある日、北海道に住んでいる雨子は、
ヒグマが出たことを知って、その熊を見に行きたいと思います。
というのも、みんな熊を恐れているのに、
アニメやぬいぐるみになっていて人気があるのは不思議だと思ったからです。
だから自分の目で熊が怖いのか、かわいいのか確かめたいと。
そして、熊に会いに行くのですが…。
この雨子の行動がきっかけで
ある小熊が動物園に入れられてしまいます。
そのことを自分のせいだと思った雨子は、小熊を救うために生きることにします。
突然、ヒグマの飼育員になるために真面目に勉強をしたり、
動物の世話をするボランティアを始めたりします。
果たして雨子は小熊を救い出すことはできるのか。
そもそも小熊は本当にそれを望んでいるのか。
動物にとっての本当に幸せとはどういうことなのでしょう?
動物園にいれば、いつでも餌がもらえるし、
もし病気になってもすぐに獣医さんに診てもらえます。
でも、ずっと狭い檻の中で暮らさなければいけません。
だからといって動物園で暮らしてきた動物が
ちゃんと自然の中で生きていけるかどうかはわかりません。
さて、雨子はどんな結論を出すのでしょうか。
気になる方はぜひ本のページをめくってみてください。
***
そうそう、このお話は小熊と雨子の物語だけど、
親や幼馴染の男の子や雨子が心を開く女性なども登場し、
彼らとの関係も描かれていきます。
特に幼馴染の男の子とのやり取りが初々しくてかわいいんです!
本の帯には「心がぽうっとあたたまる」とありますが、
私はどちらからというと、ドキドキがずっと続いていたかな。色々な意味で。
ドキドキして、涙して、またドキドキして。
様々なドキドキが味わえた一冊でした。
雨の季節にオススメの作品です。
雨音を聞きながら読んでみては?