それでも空は青い
2019年5月22日
今日も青空が広がっていて爽やかですね。
あなたは今、どんな気分ですか?
今日の青空のように晴れ晴れとしていますか?
それとも心はどんよりくもり空、あるいは雨がしとしと降っているでしょうか。
青空の日は全員が爽やかな気分かと言ったら、そういうわけではありませんよね。
どんなに青空でも、辛かったり悲しかったりする日もあります。
今日ご紹介する本は、荻原浩(おぎわら・ひろし)さんの
『それでも空は青い<角川書店>』です。
タイトルに「それでも」とあります。
たとえあまりハッピーな気分でなかったとしても空が青い日は青いのです。
この本は7つのお話が収録された短編集です。
本の帯には「人づきあいに悩む背中をそっと押してくれる7つの物語」とあります。
また「読めば心が軽くなる」とも。
たしかにふわりと心が軽くなる作品もありましたし、
え、そういうオチなの?とびっくりしたものや
思わずニヤリと笑ってしまったものなど、
お話ごとに全然異なるスタイルなので
読んでいて全く飽きなかったですし、どのお話も大変面白かったです。
特に終わり方がいい!
お、そうきたか!というものばかりで。
短篇集なのでどのお話もさらりと読めてしまうけれど
しっかりその後も心に残るので、
できれば一気に一冊読んでしまうより
毎晩一話ずつ読んでいくのがいいかもしれません。
***
例えば、どんなお話が収録されているのかというと、
最初のお話は、高校時代に同じ野球部に所属していた二人の男性の物語です。
高校時代は同じようにプロ野球選手になりたいという夢を持っていた二人ですが、
一人はプロ野球選手になって、一人はなれなかった。
物語は、挫折したほうの男性目線で進んでいきます。
この短編集には野球のお話が多く登場します。
キャッチボールのシーンもよく出てきます。
野球以外のところでは、
昔気になっていた女子が出席するかも?と言う噂を聞いて
久しぶりに同窓会に出席した男性の物語や
結婚して半年が経った今、夫との会話が弾まずに悩んでいる女性の物語
などがあります。
新婚夫婦の二人の物語のタイトルは「あなたによく似た機械」です。
何を聞いても「うん」「いや」「ああ」しか言わない夫と
もっと会話を楽しみたいと思っていた妻が掃除中にねじを見つけ、
もしかしたら夫はロボットだったのかもしれないと思う、という物語です。
このお話のラストには涙。
天気予報を見ると、富山はしばらくいいお天気が続きそうです。
青空を心から「爽やかだ〜」と楽しめる人がいる一方で、逆の方もいますよね。
それこそ本のタイトルのように「それでも空は青い」と思ってしまう方が。
そんな方は、是非この本を読んでみてください。
本を読み終えた後は、青空の見え方が少し違って見えるかも。