読書の秋
2018年10月20日
今日のネッツ・カフェ・ドライヴィンのテーマは「読書の秋」です。
ラジオやブログでは、新作をご紹介することが多いですが、
今日は、少し前に出た本を2冊ご紹介します。
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まずは、『ミュージアムの女/宇佐江みつこ』です。
岐阜県美術館のSNSで発表されていた四コマ漫画をまとめたもので、
監視のお仕事について紹介されています。
1年前に発売され、さまざまなメディアで話題になっているようです。
漫画に登場するのは、人ではなく猫です。
架空の、猫の顔をした猫人間?を主人公に
監視係のお仕事や美術館での楽しみ方が描かれています。
例えば、監視はお客様を見守るのが仕事ですが、
相手に気付かれて不快にさせない程度に見る技術が必要なのだとか。
確かに、監視の方たちからじーっと見つめられたら、作品を見づらいですものね。
また、展示室では作品に触れてはいけませんが、実は「壁」もダメなんですって。
これは知らなかった…。
と言う感じで、美術館の裏側を様々な角度から知ることができます。
それも、ゆるいタッチのイラストで
漫画も文字も手書きなので全体的にほのぼのとしています。
でも、美術館のお話なのでベースは上品です。
だからこその面白さがあります。
芸術の秋です。
この秋、美術館に行く前にまずはこの本を読んでみては?
きっと美術館がより身近に感じられると思いますよー。
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もう1冊は、2年前の2016年に発売された本です。
『三の隣は五号室/長嶋有』
こちらは、平成28年度の「谷崎潤一郎賞」受賞作です。
とある木造アパートの一室に暮らした歴代の住人たちのことが描かれています。
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住人達が皆「変な間取り」だと感じるのは、第一藤岡荘の五号室。
その五号室には、男性、女性、夫婦、家族のほか、外国の方が住んだこともありました。
同じ間取りでも使い方は人それぞれ。
ベッドを置く場所も人によって違います。
『三の隣は五号室』は決して派手な物語ではないのだけど、
読めば読むほど、愛着がわいていきました。
私もこれまでいくつかの賃貸物件に住んできましたが、
たぶん出会うことはないけれど同じ部屋に暮らしたことのある人が
どこかにいるわけですよね。
その方たちは、私が感じた不便を同じように感じていたかもしれないし、
もしかしたら私よりもっといい部屋の使い方をしていたかもしれないな、
なんてことを想像したら、楽しくなってきました。
だって、不思議な繋がりだと思いませんか?
みんな共通の繋がりがあるのに、お互いのことを知らない他人なんですよ。
いつか同じ部屋に暮らしたことのある人たちが集まって、
その部屋について話をする機会があったら面白そうかも。
壁紙に穴を空けたのは俺です…とか
あのシールを貼ったのは私です、
なんて感じで盛り上がれそうじゃないですか!
この本を読みながら、そんな妄想をしてしまいました。
一度でも賃貸物件に住んだことのある方は、是非読んでみてください。
きっと自分自身と重ねながら楽しめると思います!