夏の祈りは
2018年1月17日
graceの本紹介コーナー、キノコレとユキコレの日が今月はいつもと違います。
1月10日、17日はキノコレ、
1月24日、31日はユキコレです。
ということで、今日はキノコレ。
紀伊國屋書店富山店の奥野さんから
今話題の本をご紹介いただきます。
『夏の祈りは/須賀しのぶ(新潮文庫)』
★ 奥野さんの紹介文は コチラ
『本の雑誌が選ぶ2017年度文庫ベストテン』1位!
『2017オリジナル文庫大賞』大賞!
の史上初の2冠を達成し、
世代を超えて読まれているそうですので、
すでにお読みの方もいらっしゃるのでは?
私もツイッター上で盛り上がっているのを見て、
これは読みたい!と読んでみました。
涙!涙!涙!
去年の今頃、私は、恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を読んで号泣しましたが、
今年は、『夏の祈りは』を読んで涙が止まりませんでした。
どちらも涙の種類は同じ。
感動の涙です。
そして、どちらも頑張る若者たちの物語です。
大変いい本でした!
何か本を読みたいなあ、と本をお探しの方は、
とりあえず、この本を読んでいただきたい。
いや、読むべきです。
高校野球が好きな方、元高校球児だった方、
高校時代に野球はしていないけれど母校の野球部は応援している方などは、
必ず読んでください。必ず、です!
野球とはそれほど縁の無い私が読んでこんなに感動したのだから、
きっと野球と繋がりのある方が読んだら、もっともっと心に響くと思います。
***
舞台は、文武両道の県立高校の野球部です。
これまでの最高順位は、昭和33年の県大会での準優勝。
甲子園には届きませんでした。
物語は、準優勝した30年後の昭和63年から始まります。
この世代は、一番甲子園に近いと言われていました。
次は、その十年後、部内に二人のエースがいた時代の物語。
また、これまでいなかった女子マネージャーが入部し、活躍した年もありました。
そして、今年の野球部は、まったく期待されていないハズレ世代…
と『夏の祈りは』は、それぞれの時代の野球部のことが描かれた連作短編集となっています。
***
高校野球の面白さは、誰もがたった3年しか所属できない、
というところにあると思います。
3年経てば皆、OBになります。
この物語には、野球部のOBたちもたくさん登場するのですが、
年代が進むにつれ、大人になった元球児が
成長した姿で登場するのも面白かったです。
野球部といっても携わる人はたくさんいます。
選手にしたって、エースもいれば、活躍できない選手もいます。
他にも、マネージャーや監督、OBなども。
物語には、そんな野球に関わる様々な方たちが登場します。
そして、皆、それぞれの悩みを抱えています。
なんといっても一度も甲子園に出場していないですからね。
彼らがいかにして成長していくのか。
若者たちの成長物語に涙が止まりませんでした。
久しぶりに、とにかくみんなとりあえず読んでみてよ!!!
とゴリ押ししたくなる本に出合えました。
文庫で、税別520円とお求めやすいのも魅力的です。