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踊る星座

2017年11月22日

時々、自分の思い通りに行かない日があります。
いや、時々ではないか…。(苦笑)

打ち合わせに行ったら担当者が日時を間違えていていなかったり
買い物に行ったら私が欲しかったものだけ売り切れていたり
一方的に「これしておいて、お願い」というメールが次々に届いたり。
また、仕事が忙しい時に限って、仕事以外の連絡も増えるという不思議。

そうなんです。
たいてい思い通りに行かないときは、誰か他の人が絡んでいます。

あなたにも人に振り回されて一日が終わってしまったこと、ありませんか?

今日ご紹介する本の主人公の女性も
様々な人から振り回され続けています。

***

今日ご紹介する本はこちら

『踊る星座/青山七恵(中央公論新社)』

主人公は、ダンス用品会社のセールスレディです。
ダンス用のドレスや靴などを販売しています。

そんな彼女の長い一日が書かれた連作短編集のような一冊です。

例えば…
・電車の中で某小説を読んでいたら、いきなりその小説の著者に話しかけられ絡まれる。
・タクシーに乗ったら運転手から「一緒に死のう」と言われてしまう。
・見知らぬ女の子から突然「ママになって」と言われる。
・なんとか会社に戻ってきたら弟がいて家族の問題に巻き込まれる。

もうハチャメチャです。

ただでさえ仕事で忙しいのに、仕事以外のところで振り回され、
その上、家族の問題まで生じ…。

主人公の彼女は、次々に珍事件に巻き込まれていくのですが、
こういう時はどうしたらいいの?なんてことは考えずに、
全て受け入れていきます。

ママになってと言われたら「はい」と答え、
「死のう」と言われれば、「そうか、私は死ぬのか」と受け入れます。

たぶん、あまりにも色々なことが起こり過ぎて
深く考えることを頭が放棄してしまっているのかもしれません。

でも、仕事の約束の時間だけはしっかり覚えていて、
遅れないようにしなきゃと、常に時間に追われています。

そんな彼女の長〜い一日が綴られているのですが、とても面白かったです。

思わずぷっと笑ってしまったり、
ついニヤニヤしてしまったりするような面白さが散りばめられていました。

ガハハというよりニヤニヤな感じです。

小説を読まなくても、私も毎日のように人に振り回されているよ…
という方もいるかもしれません。

そんな人こそ、この本を読んでみて下さい。

忙しさの種類も振り回され方も
もちろん人によって異なりますが、
でも、彼女の気持ちは理解できると思います。

私は、彼女の出来事が他人事とは思えませんでした。

正しいのは私とか勧善懲悪とか
そういったわかりやすい物語ではありません。

突拍子もなく様々なことが淡々とおきていきます。
でも、それが面白い。じわじわきます。
このじわじわ面白い感じが、いいんです!

文章のリズムも心地よく、充実の読書時間でした。

yukikotajima 11:54 am