たゆたえども沈まず
2017年11月15日
富山県高岡市出身の 林忠正(はやし・ただまさ) という人物をご存知ですか?
彼は今から約130年前にパリで日本の浮世絵を売りさばいていた画商です。
ちょうどその頃、パリでは日本美術ブームが起こっており、
浮世絵が大ヒットしていました。
当時の画家たちの中には、浮世絵から影響を受けている人もいました。
たとえば、マネ、モネ、ドガ、ピサロ、ルノワールなどです。
ゴッホもその一人です。
今ではゴッホの名は世界中の人に知られていますが、
当時は全く売れない画家でした。
そんな彼をサポートしていたのが、弟のテオです。
テオはパリで画商をしながら兄を献身的に支えていました。
そんな彼らのことが書かれた小説が先月発売されました。
アート小説と言ったらこの方!
原田マハさんの『たゆたえども沈まず(幻冬舎)』です。
詳しくは、今日のキノコレ(grace内コーナー13時45分頃〜)
で紀伊國屋書店富山店の奥野さんにご紹介頂きます。
◎奥野さんの紹介文は コチラ
私も作品を読みましたので、軽くご紹介しますね。
物語は、ゴッホ兄弟と林忠正の交流が描かれています。
でも、実際、彼らが出会ったという文献は残っていないのだそうです。
とは言うものの、ゴッホは日本に憧れていて、
林はパリで日本美術を販売していたわけですから、
出会っていてもおかしくありません。
そこで、原田さんは小説の中で彼らを出会わせ交流させました。
また、林の助手の重吉(じゅうきち)も架空の人物として登場させています。
物語は、この重吉とゴッホの弟テオの目線と
このふたりの交流を軸に進んでいきます。
ですから実際にはゴッホや林の心のうちというのはわかりません。
あくまでも重吉とテオを通して描かれています。
私はこの物語を読むまで
100年以上前にフランスで活躍していた日本人がいたということを
恥ずかしながら知りませんでした。
富山の皆さんはご存じでしたか?
『たゆたえども沈まず』は史実がベースのフィクションです。
でも、この物語を読んでいると、
もしかしたら本当に林とゴッホには交流があったかもな、
と思えてワクワクしてきます。
また、この本を読むとゴッホの絵が見たくなるのですが、
なんと本の帯に「ゴッホ展」の割引引換券がついています。(笑)
ちょうど今、東京都美術館では
「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」が行われているのです。
来年1月8日までの開催です。
また、ゴッホの映画「ゴッホ最期の手紙」も上映中です。
富山ではJMAX THEATERとやまで見られます。
本と合わせて、この秋は徹底的にゴッホを堪能してみるのもいいかもしれませんね。
私は、まずは近々映画を見に行こうと思います!