失恋バスは謎だらけ
2017年10月25日
そろそろ紅葉の季節ですが、
この秋はバスツアーに参加して紅葉の名所に行く予定♪
という方もいらっしゃるかもしれません。
このバスツアー、今は色々なツアーがありますよね。
例えば、行先のわからないミステリーツアーや
最近では婚活バスツアーなどもあります。
もし、こんなバスツアーがあったら参加してみたいですか?
「失恋バスツアー」
今日ご紹介する本は、
『失恋バスは謎だらけ/森沢明夫(双葉社)』
です。
このツアーは、とある旅行会社が企画したツアーです。
失恋バスツアーというと、
美しい景色を見たり美味しいものを食べたりして元気になろう!
というツアーを想像してしまいそうですが、
そうではありません。
最後は元気になっていただきたい!というところは同じですが、
失恋した参加者たちにどん底まで落ち込んで頂くというツアーなのです。
バスの中では失恋ソングが流れ続けますし、
食事はわびしく、宿泊場所はひなびた旅館。
観光地はどこも寂しいとろこばかり…
と悲しい気持ちになれる要素が満載です。
実際、廃校に泊まったり、ご飯は卵かけごはんだけだったり、
つぶれた遊園地に行ったりしています。
今回のツアー参加者は9名。
いつもは女性たちが多いのに、
今回は男性、しかもおじさんたちが多く、
女性も見た目からしていつもよりキャラが濃そうな人ばかりが参加しています。
声がでかく元気いっぱいの金髪ハーフ美女、
自称パンクロッカー、自称霊媒師、
常に上から目線の発言をする謎の中国人社長、
お嬢様女子大に通う20歳の女性、フリーターなど。
年齢は20歳から73歳まで。
職業も年齢もみんなバラバラです。
そしてこのツアーの添乗員の男性も実は失恋直後なのです。
ふられた相手はカウンセラーとして同じく添乗している女性です。
物語は基本的にはこの失恋したばかりの男性添乗員の視点で進んでいきます。
今回のツアーは、参加者がとにかく濃い上に
なぜかハプニングが次々に起き、
その上、別れたばかりの元カノのカウンセラーはツレない態度。
さらに、会社がつぶれるかも?という話まで出てくるなど、
添乗員の彼には困ったことが起き続けます。
そんな中、徐々にツアー参加者たちの悩みも明らかになっていきます。
そもそも「失恋バスツアー」ですからね。
ハッピーな気持ちで参加している人はいません。
ツアーは4泊5日。
この5日間でこのバスに乗った参加者+添乗員たちスタッフはどう変わるのか?
そして、無事、失恋の傷は癒えるのか?
この続きは、是非「失恋バス」に乗車してみて下さい♪
ツアー料金は、たったの1,700円+税です。
本のページをめくれば、いつでもどこでもツアーに参加できます。
本を読んでいるうちに、きっとツアー参加者の一人の気分になってくると思います。
泣いて笑って、本当に濃い時間でした。
また、映像がわきやすい作品でしたので、
読書と映画と旅を同時に味わっているようでもありました。
この作品もいつか映像化されそうだなあ。
BSあたりで連続ドラマ化されそうな予感がする。(笑)
ノリは軽いタッチだけど、人間の描き方は丁寧な、いい物語でした。
あ、そうそう!
著者の森沢さんは、富山も舞台になった
高倉健さん主演の映画『あなたへ』を書かれた方なんですよー。