幸福のパズル
2017年5月3日
先日、本屋さんで初恋の人に出逢い、
思わずかけよって抱きついてしまいました。
というのは比喩ですが(笑)、
でも、それくらいのテンションになったのは確かです。
私の心を一瞬で思春期に戻したのは、
折原みとさんのお名前です。
思わず「わー!」と声を出してしまったほどです。
懐かしい「シュンチ」というキーワードまで蘇ってきて、
気分はすっかり10代でした。
30〜40代の女性の方ならご存知の方も多いのでは?
折原みとさんの『時の輝き』。
映画化もされた話題作です!
その折原みとさんの新作が本屋さんにあったのです。
タイトルは『幸福のパズル』。
とっさに読んでみたい!と思い、
興奮状態のまま、さっそく本のページをめくってみました。
600ページもある長編でしたが、一気読みでした。
***
物語は、高校生二人のピュアな恋バナから始まります。
主人公は、高校生のときにデビューした若手人気作家の「みちる」。
彼女が恋に落ちるのが、老舗ホテルの御曹司の優斗(ゆうと)なのですが、
この優斗がパーフェクトな男性なのです。
イケメンで身長が高くて優しくて、そのうえお坊ちゃま。
ね?完璧でしょ?(笑)
主人公のみちるちゃんは、地味で友だちもおらず、
物語ばかりを書いているような女の子です。
だから自分に自信がありません。
そんな女子が王子様のような男子に告白される、
という王道のラブストーリーからこの物語は始まります。
まるで少女漫画を読んでいるかのようなまぶしさで、
私もキュンキュンしながら読んでいたのですが、
そのキラキラなラブストーリーも長くは続きませんでした。
なんと二人には困難が次々に降りかかり、何度も引き裂かれてしまうのです。
お互い惹かれあっているのだから邪魔しないでよ!
と本に向かって突っ込む私は、すっかり10代の女子でした。
王道のストーリーは、ときには退屈に感じることもありますが、
この物語は、王道だからこその面白さを感じました。
ここまでの王道の心地よさを感じたのは久しぶりです。
やはり思春期の感覚って自分の心の中にずっとあるものなのですね。
というか、私のベースになっているのかもな。
また、「王道」以外の面白さもあります!
みちるだけでなく、複数の登場人物の視点で描かれているため、
それぞれの心の内がわかるのです。
純愛小説だけど、二人の恋愛オンリーでないのがいいなあと。
そうなのです。
この作品は、お仕事小説、家族小説、みちるの人としての成長物語でもあるんです。
とくに後半は家族小説としての色合いが強かったです。
というのも、みちるが小説家として成功したあと、
家族がよくないほうへと変わってしまうのです。
途中、あまりにもみちるがかわいそうで、
ここまで苦しめなくてもいいのに!と本から逃げたくなったほどです。
物語は、めまぐるしく展開していき、
気付いたらあっという間の600ページでした。
ほんっと面白かった!
思春期のころ、折原みとワールドにはまった皆さん、
たまには王道の純愛物語を読んでみませんか?
実は王道のラブストーリーは嫌いではないけど、
年齢を重ねてきて、本屋さんで手に取るのがちょっと恥ずかしくて…
なんて方もこの本なら大丈夫!
なんてったって私たちの「折原みと」ですから!!(笑)
GW後半、もし何か本でも読んでみようかなという方がいらっしゃれば、
ぜひ『幸福のパズル』を読んでみてください♪