みかづき
2017年2月22日
今年も本屋大賞発表の時期が近づいてきました。
本屋大賞は、直木賞・芥川賞と並ぶ、
いや、実際にはそれ以上に注目を浴びている
と言ってもいいかもしれません。
ひとことで言うなら、書店員の投票だけで選ばれる賞です。
過去一年の間、書店員自身が自分で読んで
「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」
と思った本を選び投票し、
まずはノミネート作品が10作品選ばれます。
そして今年は4月11日(火)に本屋大賞が発表されます。
これまでの受賞作を振り返ってみると…
2016年は『羊と鋼の森/宮下奈都』
2015年は『鹿の王/上橋菜穂子』
です。
いずれも大変話題になりました。
また、本屋大賞受賞作は映画化されることも多く
現在公開中の映画『海賊とよばれた男』は2013年の受賞作ですし、
他にも『舟を編む』、『告白』、『ゴールデンスランバー』などが
映画化されています。
本を読まない方にしてみれば、
全て話題の映画じゃないか!
と思うかもしれません。
でも、これらはすべて原作がまず注目を浴びたのですよ!
2017年はどの作品が選ばれるのでしょう。
★ 2017年のノミネート作品は コチラ
ノミネート作品をすべて読んで
自分で予想するのも楽しいかもしれません。
ラジオで紹介した本も何冊もノミネートされていますよ!
私もすべては読んでいませんが、
読んだ本の中では、
直木賞受賞作恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』
がよかったなと思いましたが、
この本を読んで、いや、この本もよかった。
そして映像化されたものを見てみたい!と思いました。
その本とは、森絵都さんの『みかづき(集英社)』です。
去年9月に発売されて以来、ずっと売れ続けているそうです。
私、この本を読みながら久しぶりに生活リズムを崩しました。(笑)
三世代の家族の物語とあったので、
途中で区切ってじっくり読んでいこうと
夜読み始めたら、気付いたら明け方でした。
この本、500ページ近くもあって大変面白いので、
お読みになる時は、
時間がたっぷりある日の午前から読み始めるのがいいと思います。
今日は徹底的に読書デーにするぞ!と決めて。
夜遅くに読み始めたら間違いなく生活リズムが崩れます!(笑)
さて私が寝るのを忘れるほど没頭してしまった『みかづき』は、どんなお話なのか、
簡単にご紹介しましょう。
***
『みかづき』は、昭和から平成の塾業界が舞台のお話です。
昭和36年に、若い男女が学習塾を立ち上げます。
シングルマザーの千明に誘われて
塾の先生になった吾郎。
二人はすぐに家族になります。
家族経営の小さな塾は、
ベビーブームと経済成長の波に乗って
どんどん大きくなっていきます。
塾に関わる人も増えていき、ときには対立も生じます。
また、成長した娘たちとの関係も少しずつ変化していき、
物語は、予期せぬ方向へと進んでいきます…。
昭和30年代に塾を始めた父と母。
三人の娘たち。
そして、その孫。
それぞれの物語が描かれています。
***
この本は、とにかく激しく熱い千明と
のんきな夫、吾郎を中心に物語がすすんでいくのですが、
千明をメインとしたお話は、とにかくスピードははやく、
ページをめくる私の手までスピードを増していきます。
ちょっと加速しすぎたなと思うと
のんきな吾郎がいい感じでスピードをゆるめてくれます。
本の中の家族たちが、
笑ったり、泣いたり、怒ったりするたび、
私も同じことをしていました。
私は気性の激しい千明に感情移入しやすかっただけに、
穏やかな吾郎の言葉が心に響きました。
家族だからこその甘えもあれば遠慮もある。
でも、家族だからこそのつながりもあるわけで。
本当にいい物語でした。
この作品、間違いなく映像化されると思う。
NHKの朝ドラにも向いているかも。