静かな雨
2016年12月28日
私が今年最後にご紹介する本は、
宮下 奈都(みやした・なつ)さんの新作です。
宮下さんといいますと、
去年発売された『羊と鋼の森』が今年の本屋大賞を受賞し、
話題となりました。
私も『羊と鋼の森』の大ファンでして
ラジオでも勝手に大プッシュ。(笑)
◎私の『羊と鋼の森』の感想は コチラ
ちょうど一年前のこの時期は、
番組宛に本を読んだ感想がたくさん届き、
毎週のように『羊と鋼の森』の話をしていました。
そんな宮下さんの新作が出たとなれば
読まずにはいられません!
タイトルは『静かな雨(文藝春秋)』です。
この本は新作と言いつつも
宮下さんが書かれたのは10年以上前のことなんだとか。
2004年に「文學界」の新人賞の佳作に選ばれた作品、
つまりデビュー作です。
そんな幻のデビュー作が今月発売されました。
『静かな雨』は、たいやきが食べたくなります。(笑)
それもこの作品の中の、こよみさんが作ったたいやきが。
どうにかして誰か再現してくれないかしら。
宮下さんがお住まいの福井に、
モデルとなっているたいやきがあるのなら食べに行きたい。
***
『静かな雨は』は、
たいやきを作っているこよみさんと、
そのたいやき屋さんの常連の男性、行助(ゆきすけ)の物語で、
行助目線でお話がすすんでいきます。
行助は、こよみさんの作るたいやきのファンであり、
こよみさん自身のファンでもあります。
そんな行助をおせっかいながらも
一応アシストしているのが、
彼のお姉さんです。
このお姉さんとのやり取りが
まるで私と弟のやり取りと似ていて
他人事とは思いませんでした。
弟のことを心配してはいるものの、
基本的には上から目線で大変マイペースなあたりが…。(笑)
そして、行助が思いを寄せるこよみさんが、
これまたかっこいい女性です。
先日のgraceにも
「学生時代の勉強って大人になってから役に立つの?」
と子どもから聞かれたというママからのメッセージが届いていましたが、
こよみさんのたいやき屋さんを訪れた高校生も同じことを言っていました。
それに対するこよみさんの答えが素晴らしかった。
その通りだなと思って。
気になる方は、ぜひ本を読んで確認してみてください。
ちなみに、大変短い作品ですので、
ストーリーが紹介しづらい。
できれば、本のページをめくりながら
じっくり味わってみてください。
年末年始は、バタバタしていて読書する時間なんてないっ!
という方でも無理せず読める長さですので、
何か本読みたいけれど、長編は無理という方にこそぴったりの一冊です。
お時間のある方はそれこそ繰り返し読んでもいいでしょうし、
『羊と鋼の森』と合わせて読んでみてもいいかも。
ちなみに、宮下さんのおっしゃることには、
「『静かな雨』は『羊と鋼の森』と
根っこがしっかりとつながっている」そうですよ。