さよならクリームソーダ
2016年8月24日
8月も残りわずかですね。
お盆休みが終わったと同時に、
大人の皆さんは夏も終わったという気分でしょうか?
その一方で、まだ夏休み中の学生の皆さんの中には、
夏休みの宿題に追われている方もいらっしゃるかもしれませんね。
高校生のリスナーさんから、
夏休みの読書感想文の高校生向けの課題図書として、
以前私がラジオで紹介した
額賀澪(ぬかが・みお)さんの『タスキメシ』
が選ばれたと聞きました。
★ 私の『タスキメシ』の感想は コチラ
『タスキメシ』は、高校生の物語です。
兄弟で陸上部に所属している2人の男子を中心に
陸上部の部長や他校のライバル、
調理実習部の女子高生なども登場します。
駅伝のタスキとご飯のメシで『タスキメシ』です。
この本を高校生の課題図書にするなんて、最高じゃないか!
と、この本を読んだ大人の私は思うのですが、
登場人物たちと同世代の高校生たちは、どんなことを感じるのかしら。
彼らの読書感想文を読んでみたいな。
***
さて、今日ご紹介するのは、
この『タスキメシ』の著者、額賀澪さんの
『さよならクリームソーダ(文藝春秋)』
です。
タイトルからすでに甘酸っぱさが漂っています。
本の表紙のイラストは、
プールにいる制服姿の男女を包み込むように氷と泡が描かれ、
まるで二人がクリームソーダの中にいるような、
それこそ、クリームソーダごしに二人を見ているようなイラストです。
今回の『さよならクリームソーダ』は、大学生の物語です。
舞台は、美大。
某美大の油絵学科に入学した主人公の男性は、学生寮に住み始めます。
そこで、同じ寮に住む才能豊かなイケメンの美大の先輩と出会うのですが、
この先輩が、とにかく完璧な人なのです。
イケメン。
料理もできる。
優しい。
そして、肝心の絵の才能もある。
私が学生だったら間違いなく好きになります。
でも、この先輩にはどこかつかめないなところがあるのです。
何かを隠しているような。
まあ、それも10代の頃なら、
ミステリアスな雰囲気に感じられて
よりイケメン度がアップするだけなのですけどねー。(笑)
物語は、主人公の男性の話をベースに、
イケメンの先輩の高校時代のお話も間に挟まれていきます。
そして、ぼんやりとしていたイケメンの先輩の過去が
徐々に明らかになっていきます。
と同時に主人公の心の悩みも明らかになっていき…
という若い男子たちの物語です。
***
大人になった今は、色々な世代の方と仕事をするので、
2〜3歳の年の差は全然気になりませんが、
学生時代は、この差がとても大きいのですよね。
先輩はものすご〜く大人びて見えるもので。
また、高校3年生と大学1年生の差もとても大きい。
高校3年生からすれば、憧れの大学に入学できた大学生は
とてもまぶしきキラキラして見えたりするものです。
そんなことを久しぶりに思い出しました。
また、アラフォーになった今もまだまだ悩んでばかりだけど、
でも、明らかに悩んでいることは大学時代とは違うな、
ということにも気付き、やや寂しさも感じました。
でも、10代の頃の感情が蘇ってくる方法があります。
それは、音楽!
この本の中には、たくさんの尾崎豊さんの曲が登場します。
もしCDがあれば、ぜひ曲を流しながら本を読んでみて下さい。
と言いつつも私自身10代の頃、
尾崎豊さんの曲を繰り返し聞いたわけでは無いのだけれど、
なんでしょうね。
大人になった今改めて聞くと、懐かしい感じがするのです。
心の中の言葉にできない叫びを歌う尾崎豊さんの曲は、
ひりひりしていて、なんてあぶなかっしいんだろうと思うのだけど、
この熱さと脆さが合わさっている感じが逆に心地良くて。
曲そのものの懐かしさというより、
10代の頃の感情に対する懐かしさという感じかな。
久しぶりに大学のキャンパスに行きたくなりました。