台所のラジオ
2016年6月22日
いつもラジオを聞いている方は、
どちらで何をしながらラジオを聞いていますか?
富山の方ですと、車の中で聞いている方が多いかもしれませんね。
最近はスマホでお聞きの方も増えているようですが、
中には昔からずっと古いラジオで聞いているという方もいるのでは?
今日ご紹介する本は、そんなラジオが登場する短編集です。
『台所のラジオ/吉田篤弘(角川春樹事務所)』
本屋さんで本を選んでいる時に
「ラジオ」と書かれたタイトルにそそられ手に取ってみたところ、
裏表紙には冷蔵庫の上に古いラジオがのったイラストが描かれていて、
それを見た瞬間、読みたい!と思ってしまいました。
この本は、12の作品が収録された短編集です。
ちなみに、裏表紙のイラストにまつわる物語もありまして、
その物語の主人公が冷蔵庫の上のラジオから声が聞こえてきたとき、
「ちょうど母の声と同じ位置だな」と気付くのです。
その感覚、私には無かったなあと読みながらニヤニヤしてしまいました。
いつもラジオをお聞きの皆さんも、
たまにはラジオの置き場所を変えてみると面白いかもしれません。
私、田島が立って喋っているのを再現したければ、
私の身長は約167センチなので、合わせてみてください。(笑)
このように、この本はちょっとしたことなのだけど面白い!
と思える感性にあふれていました。
本の帯にもある通り、地味ではなく滋味深い物語です。
***
短編集である『台所のラジオ』は
どの作品にもラジオと食べ物が登場します。
でも、ラジオはあくまでもおまけです。
さりげなく登場します。
作者の吉田さんはきっと普段からラジオをよく聞いているのだと思います。
だってラジオの登場の仕方が絶妙ですもの。
それに、喋り手のちょっとした変化にもよく気付いていて、さすがです。
私も今後喋る時に意識してしまいそうだわ。
メインの話題はどちらかというと食べ物です。
ミルク・コーヒー、お茶漬け、きつねうどん、ビフテキなどが登場します。
そうそう、この本に素晴らしい一文がありました。
それは「すべてのひとを笑顔にできるものは○○だけだ」という一文。
さて、この○○に入る言葉は何でしょう?
気になる方は、ぜひ『台所のラジオ』を読んでみてください。
***
『台所のラジオ』は、短編集なので、
本を読むのが苦手という方にもおすすめです。
現実逃避したい〜!と思った時にも、私はよく本を読みますが、
長編小説は海外旅行、短編集は日帰り近場旅のような感覚で読みます。
でも、短編だからと侮るなかれ。
『台所ラジオ』には、ちょっと変わった物語も収録されています。
・毎日お好み焼きを食べる男の話
・Gに分類される人の話
・女優洗浄機を依頼された設計士の話
などです。
本当は具体的なストーリーをご紹介したいのですが、短編集は難しいのです。
すみません…。
なんかぼんやりした本紹介だなあと思ったあなたへ
すっきりする方法をお教えしましょう!
それは『台所ラジオ』を読むこと。(笑)
リスナーの皆さんが主人公の物語ですから、
普段からラジオをお聞きの皆さんには、より読みやすい一冊だと思いますよ!