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エッセイを2冊。

2008年6月1日

『てのひら迷路 / 石田衣良(講談社文庫)』

24篇のショートショートです。
全ての作品には、まえ書きがついています。
どのような思いでその作品を書いたのかが書かれています。
そして、この本に納められていることのほとんどが、
石田衣良さん自身の体験によるものです。

鋭く尖ったナイフはこわいけれど、
それをもつ人間は、ブルブル震えていて、じつは、とても弱い。
そんな人間の弱さと脆さと危うさが、
私が抱いている、石田衣良さんの作品のイメージです。
私は、そんな石田ワールドが好きです。

そんな石田衣良さんの心の内が書かれていました。
誰かに伝えよう、というより、心の声を文字にしてみた・・・という感じかな。

肉親の恋の話を聞くのが少し恥ずかしい、のと同じような、気持ちになりました。

ひとつひとつの作品がとても短いので、気が向いた時に、少し時間が出来た時に、
ちょっとずつ読めます。

読むというより、話を聞く感じかな。
あなたも、ちょっと耳を傾けてみては?

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『結婚願望 / 山本文緒 (角川文庫)』

あまりにもストレートなタイトルに、思わず手をのばしてしまった私。

先日、映画『幸せになるための27のドレス』の感想を、
このゆきれぽにも書きましたし、番組内でもお話しました。

ラジオを聞いた知り合いの方々から、
「今、結婚する気が全然無いでしょ?」
と言われてしまいました。

あは。あれ、ばれた?

そんな時、たまたま本屋で見かけたのが、この本でした。
一度離婚し、独身となった山本文緒さんが「結婚」についての本音を語っています。

私は、大学時代、山本文緒さんの本にはまっていました。
ほとんどが恋愛話。しかも喪失を伴うという。
よく一人読んでは、自分と重ね、泣いていたっけ…。

そんな、私にとって青春時代の先生のような山本文緒さんの結婚トークなら、
是非、読んでみたい、と思ったわけです。

しかし、恋愛どっぷりな感じの作品を書いてきた山本文緒さんの本音は、
思っていた以上に、さらっとしていました。
そして、なかなかにビターでした。
やっぱり、私も年を重ねてきたのでしょう。
きっと学生時代の自分がこの作品を読んでも共感は出来なかったと思います。
でも、今は、よくわかる。
まるで、普段、女友達と話しているような感じでした。
わかる、わかるー!と共感しまくりでした。
でも、私は、まだその覚悟は出来ない・・・とも思いましたが。
あ、なんの覚悟かは、本を読んでください(笑)。

でも、でも、文庫版あとがきには、思いもよらないオチが待っていました。
やられました。面白すぎます。笑いました。
そして、気が楽になりました。

この本の中で印象に残った言葉は「鎖国」。
自分の心が鎖国状態になっていないか?と自問自答しているところがあるのですが、
私も知らないうちに、勝手に鎖国のとりしまりを強化していたかもしれない、
と、気づかされました。
目からうろこが落ちました。
私の心を開国するペリーの来航は、まさにこの本『結婚願望』でした。

だから、読書はやめられない!

次は何を読もうかな♪

yukikotajima 6:08 pm