さみしくなったら名前を呼んで
2014年10月8日
今日のユキコレ(13時45頃オンエアー)でご紹介する本は、
富山出身の作家さん、山内マリコさんの新作です。
山内さんというと、毎週金曜にFMとやまで
という番組をやっていらっしゃいますので、
リスナーの皆さんにとっては、
ラジオで喋っている方という印象が強いかもしれません。
ちなみに、素顔の山内さんもラジオ通りの元気いっぱいの気さくな女性です。
声もかわいいですが、見た目もキュートです。
(スリスリ・・・笑。いや、本当にかわいいです!)
★ 山内マリコさんの公式サイトは コチラ
山内さんがこれまで出された小説
の2冊とも、このブログ&ラジオでご紹介しているのですが、覚えているかなあ?
いずれも地方を舞台にした小説です。
ちなみに、この地方というのは、山内さんが生まれ育った富山を意識しているそうです。
でも、小説には富山という言葉は出てきません。
というのも、どの地方の方が読んでもしっくりくるような内容にしたかったそうで、
あえて場所を限定しないようにしているのだとか。
富山の物語として読むと、確かに富山っぽさを感じますが、
私の地元群馬の物語として読んでもしっくりきます。
地方の街の様子や、抱える問題、
そこに住む人たちの心の中というのは、
どこも一緒なのかもしれませんね。
先月出たばかりの山内さんの新作にもたくさんの地方女子が登場しています。
ご本人が口に出すのが恥ずかしいとおっしゃった本のタイトルはこちら。
『さみしくなったら名前を呼んで(幻冬舎)』
です。
ちなみにこのタイトルは、
キャロル・キングの名盤『つづれおり』に収録されている
『君の友だち』の歌詞に影響を受けているのだとか。
新作は、書き下ろし3編を含む、11編を収録した短編小説集です。
主人公は、地方に住む、あるいは地方出身の女性たち。
いくつかピックアップしてみましょう。
*容姿に自信のない女性の『さよちゃんはブスなんかじゃないよ』
*年上の男性に恋をした女子高校生の『大人になる方法』
*久しぶりに学生時代の友人に会って学生時代を振り返る『遊びの時間はすぐ終わる』
などが収録されています。
11編の中には、『ここは退屈迎えに来て』でおなじみの
チャラ男、椎名が登場する作品もあります。
タイトルは『孤高のギャル小松さん』。
山内さんのお気に入りの作品です。
しかもこちらは『ここは〜』に入る予定だったそうです。
ですから『ここは退屈迎えに来て』を読んでから(あるいは再読してから)
この作品を読むとよりニヤニヤしながら楽しめるかもしれません。
***
今回の短編集は、どの作品も懐かしい感じがしました。
私の物語ではないのに私の過去の記憶と簡単に結びついて、
過去に私が出会った様々な人の顔が浮かびました。
初めて友達と電車に乗って買い物に行ったときのことや、
群馬を出たくてたまらなかった高校時代、
ひとりよがりだった大学時代のことが
鮮やかに思い出されました。
それも、どうでもいいことばかり。(笑)
おかげで、読書中、心の目は何度も過去によそ見していました。
と同時に過去の自分とも向き合っている感じでした。
そう、この作品に出てくる女性たちは、どこか自分と重なるところがあるのです。
でも、これは私だけじゃないと思うの。
きっと、みんな私もそうだと思えるエピソードと出合えるんじゃないかな。
過去のあの時、泣きたかったのに泣けなかったという方は、
この本を読んで、涙の清算をしてみてはいかがでしょう?
思う存分、過去の自分に戻って正直になってみては?
特に普段、強がってしまう女性の皆さん、さみしくなったらこの本を読んで♪
うまくいかなかった過去が愛しく思えるはず。
秋の夜長におすすめの1冊です。
短編集なので、毎晩1話ずつ読んでもいいかも。