悟浄出立
2014年9月10日
今日ご紹介する本は、
発表される作品が次々に映像化される
万城目学(まきめ・まなぶ)さんの新作です。
万城目さんというお名前をご存知ない方でも
作品のタイトルは聞いたことがあるのでは?
『鴨川ホルモー』
『プリンセス・トヨトミ』
などは、映画化されましたので、ご覧になったという方もいらっしゃるのでは?
他には無い独特な世界観をお持ちの作家さんです。
ありえない設定なのだけど、
でも、ワクワク感が半端ないのです。
どんな設定よ?と最初は突っ込みつつも、
読んでいるうちに引き込まれていきます。
そんな万城目さんの新作は、独特な設定なのではなく、
独特な視点で描かれた作品です。
今回ご紹介するのは、
『悟浄出立(ごじょうしゅったつ)/新潮社』
という本です。
漢字が4文字並んでいて、しかもよくわからない言葉だし、
いったいなんの本よ?
なんか難しそう…と手に取った瞬間、棚に戻してしまいそうですが、
いやいや、戻さないで〜。
面白いから!
悟浄とは、西遊記の沙悟浄のことです。
西遊記一行の中で、もしかしたら一番影が薄いかも!?
どちらかというと、主役というより脇役です。
そう!今回は、常に脇役として描かれる人たちに焦点をあてています。
しかも、中国の古典に現れる脇役たちです。
西遊記の沙悟浄のほか、
三国志の趙雲(ちょううん)、
項羽と劉邦の項羽に愛された虞美人(ぐびじん)、
司馬遷の娘などが登場します。
私は、三国志も項羽と劉邦も司馬遷ももちろん聞いたことはあるものの、
中身までは詳しくないため、どの作品も新鮮な物語として読みました。
ただ、読んだ後、それぞれのベースとなる元々のお話に興味がわき、
今は、三国志、項羽と劉邦の作品が気になって仕方ありません。
小説で読もうか、それともまずは映画を観ようか。
いずれにしても、万城目さんのせいで
物語にちょっと足を突っ込んでしまったため、
本来の主役たちの物語にまで手を出す羽目になってしまいました。(笑)
まあ、素直に言えば、
世界を広げてくださってありがとう!!ということなのですが…。(笑)
三国志や項羽と劉邦といった中国の古典がお好きな方は是非読んでみてください!
きっとニヤニヤが止まらないと思います。
もちろん、私のように聞いたことはあるけれど、
深くは知らないという方でも楽しめます。
この本には、5人の脇役たちが登場するのですが、
私は、四面楚歌という言葉がうまれることになった場面が描かれた、
項羽と愚美人のお話が好きです。
愚美人の女性としてのプライドに涙。
秋の夜長に、1話ずつ、中国の古典の脇役たちの生き方をのぞいてみては?
脇役たちの物語ということで、
自分自身と重ねてしまう方もいるかも!?
私は秋のはじめに素敵な世界に遊びに行けました。
そして、このままこの秋は、しばらく中国古典の世界を旅してみようと思います。
ああ、寝不足の日々となりそうだわ。(笑)