春、戻る
2014年6月11日
想像してみてください。
突然、あなたの目の前に明らかに年下の男性がやってきて、
「お兄ちゃんだよ」
と言ってきたらどうしますか?
間違いなく警戒しますよね。
変な人に絡まれたと思いますよね。
私だったら「人違いだと思います。失礼します」と言って逃げてしまうかも。
今日ご紹介するのは、そんな見知らぬ男性が突然「お兄ちゃんだよ」と目の前に現れる
瀬尾まいこさんの『春、戻る(集英社)』
という作品です。
もしやファンタジー?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、
『春、戻る』は、普通の人たちの普通の物語です。
まあ、お兄ちゃんはちょっと普通ではないですが…。(笑)
***
簡単にストーリーをご紹介しましょう。
主人公は、36歳の女性「さくら」です。
さくらは結婚を控え、仕事も辞め、
嫁ぎ先となる和菓子屋さんを時々手伝いながら、
穏やかな毎日を過ごしています。
そんなさくらの前に突然、「お兄ちゃん」と名乗る青年が現れます。
でも、お兄ちゃんなのに明らかに年下に見えます。
実際、お兄ちゃんの年齢は24歳。12歳も年下です。
お兄ちゃんは、さくらのことを妹と呼び、
さくらのことを色々知っています。
また、さくらだけではなく、
結婚相手の男性やその家族の前にも現れるようになります。
というのも、お兄ちゃんは、さくらの結婚が心配でやってきたようなのです。
さくらの結婚にあれこれ口出しをし、
なんとさくらのデートにまで一緒についてきてしまいます。
でも、最初は警戒をしていたさくらですが、
人懐っこく愛嬌のあるお兄ちゃんに徐々に慣れていきます。
また、さくらの周りの人たちも自然とお兄ちゃんを受け入れます。
平和な日常の描写に、もうお兄ちゃんが誰でもいいや、と思えてた頃、
物語に影がちらつき始めます。
さくらとお兄ちゃんの心の距離が近づくにつれ、
辛い過去の記憶も鮮明になっていきます。
いったい、さくらにはどんな過去があるのか。
そして、年下のお兄ちゃんとはいったい何者なのか。
答えは・・・
『春、戻る』
を読んでね♪
『春、戻る』は、一見、突拍子もないお話のように思えるけれど、身近な物語です。
心がじんわり熱くなった瞬間、文字が揺れ始めます。
とってもあたたかないいお話でした。
ちなみに、怖い話ではありませんよー!(笑)