去年の冬、きみと別れ
2014年3月12日
あと1か月もすれば今年の本屋大賞が発表されます。
本屋大賞とは、もうよくご存じかとは思いますが、
全国の書店員の投票だけで選ばれる賞のことです。
過去一年の間、書店員自身が自分で読んで
「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」
と思った本を選び投票します。
何より、本好きの皆さんが本気ですすめたい!
と思っている本ですので、熱さが違います。
是非読んでほしい!という思いがにじみ出ているのです。
私も毎年楽しみにしています。
先日、今年のノミネート作品が選出されました。
★ ノミネート作品は コチラ
私は10作のうち、5作を読みました。
でも、すべて読んでみたい。
その中から今日は、色々な意味で話題になっている作品をご紹介します。
『去年の冬、きみと別れ/ 中村文則(幻冬舎)』
去年の9月に発売されたので、既にお読みの方もいらっしゃると思います。
そんなあなたにお聞きします。
再読しましたか?
私は、しました。
著者の中村さんは、再読を考慮した本の分量にされたのだとか。
確かに200ページ弱で一気読みするにはちょうどよかったです。
読み終えた後も再読する元気がまだありましたもの。
あ!なんてことだ、私、まんまとはまっている。
この本は、読んだ人同士で語り合いたくなる本です。
なぜなら、確かめたいことがいろいろあるから。
きっとこの本が国語のテストになったら、正解率は低いね。
いや、低いのは私だけかもしれない。
そもそも内容的にあまりにも猟奇的過ぎるので、
100%国語のテストになることはないから、
低い点数を取る心配もないな。よかったよかった。(笑)
すみません。
本を読んでいない方は、ちんぷんかんぷんですよね。
***
簡単にどんなストーリーかご紹介します。
主人公はライターの仕事をしている「僕」。
僕は猟奇殺人事件の被告の本を書くことになり、
被告である彼に面会に行きます。
彼は有名なカメラマンで
二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けています。
何を聞いてもまったく表情の変わらない彼は、
逆に「僕」に対し、自分のことを知る覚悟があるのか質問してきます。
なぜ覚悟がいるのか?それはどういうことなのか?
そもそも、彼はなぜ事件をおこしてしまったのか?
調べを進めるほど、「僕」は事件の異様さにのみ込まれていことになります。
狂気に満ちているのは被告だけではありません。
被告の姉も、被告とつながりのあった人形師も、
またその人形師に群がる人たちもみんなどこか普通ではありません。
いや、物語そのものが普通ではありません。
全く私の知らない世界がそこにはあって、
さらに想像もつかない展開が待っていました。
もう何が何だか分からなくなってきて先を知りたいと思って焦りつつも、
読むスピードを早めてしまっては大切な伏線に気付けなくなりそうだと思い、
焦る気持ちを抑えつつ、丁寧に文章を読み進めていきました。
そして最後まで読み切ったものの、
結局、悔しいことにもう一度読みたくなってしまったのでした。
そういう意味では、お得な本かもしれません。(笑)
ネット上では、この本のタイトル+あるキーワードがよく検索されているようです。
私はそのことはそれほど気にしなかったのですが、
もしやかなり深い意味があるのか?と思ったら、気になってまたもや再読。
私が頭の中で感じたことは、もしや間違っているのか?
ああ、読んだ方たちと話をしたい。
皆さん、どんな解釈をされたのかしら?
ということで、まだお読みで無い方は、是非読んで感想を教えて下さい。(笑)
また、この本はタイトル『去年の冬、きみと別れ』だけを見ると
涙がぽろぽろこぼれてしまいそうな恋愛小説のようですが、
私はだまされました。
きみと別れ、どうなったのか?
そうそう、内容がかなりハードですので、
元気な時に読むことをおすすめします。
あと、再読したくなるので、時間がある時のほうがいいかも。