人間の関係
2008年2月24日
五木寛之さんによる書き下ろしエッセイ『人間の関係』を読みました。
私は、わりと一人時間が好きで、
一人暮らしが長いためなのか、
一日にほんの少しでも一人になれる時間が無いと、
息苦しく感じられるのです。
(だから、結婚できないのか!?苦笑)
さらに、時々、様々な人との関係を絶って、一日中、家にこもりたくなる(笑)。
でも、夜になると、人と話をしたり、会いたくなるのですが。
あ。そのために、一人になるのかな。。。
人にまた会いたい、と思いたいから、一人になるのかもしれません。
さて、
五木寛之さんの『人間の関係』には、様々な人間同士の関係が綴られています。
対自分、対友人、対恋人、対兄弟、対親など。
私が一番心打たれたのが、「信頼」についてのくだり。
「本当の信頼とは、
たとえどんなに裏切られても後悔しない、
という覚悟から生まれてくる」
「信頼とは見返りを求めない生き方」
ドキッとしました。
その瞬間、「相手を信頼する」ことが、
「逃げ」のようにも「脅し」のようにも思えました。
あなたを信じる、と言われたら、嬉しいけれど、
でも、プレッシャーにもなる。
絶対に裏切れないな、と。
もしかしたら、うまくいかないこともあるでしょうし、
人間は弱いから、考えが変わってしまうかもしれない。
だから、信じる、という言葉が、重くのしかかる。
そして、逆に、信じる、と言った方も辛くなる。
裏切られるのではないか?という不安を感じたり、
ちょっとでも不信を感じると、裏切られた、と思ってしまう。
でもそれって、実はものすごく独りよがりですよね。
相手のことは考えず、
ただ、裏切られたと言えば、自分は被害者になれるし、
相手を悪く言えば、自分を守れる。
私は、どちらかというと白黒はっきりつけたがる性格なのですが、
世の中のあらゆることは、0か100かにわけられるものではないのですよね。
相手との関係も、簡単に割り切れるものでもない。
この本を読んだ後は、心の器が少しだけ大きく、ゆるくなったような気がしました。
本の帯の「人は「関係ない」では生きられない」という一節を読んだら、
人との関係に辟易している方は、より、うんざりするかもしれませんが、
私は、読後は、まったく逆の気持ちになれました。
五木寛之さんの『人間の関係』
是非、あなたもこの本との関係を結んでみてください。