毎年、夏の時期の本屋さんは、
いつにもましてわくわくします。

なぜなら、各出版社が「夏の文庫フェア」をしているからです。

各出版社が出す冊子は、どれも凝っていて、その冊子を読むだけでも面白いし、
本を買うと、いろいろプレゼントがもらえるのも楽しい。
また、このフェア限定の特別カバーがあるのもこの時期ならではです。

そして、私は、毎年、夏の時期に文庫が増えます。（笑）

先日も6冊まとめ買いしちゃいました。

その中から、今日のユキコレ（13：45頃〜オンエアー）では、
2冊の本をご紹介します。

***

まず、ご紹介するのは、
単行本としては、2006年に出版された

角田光代さんの『薄闇シルエット（角川文庫）』

です。

主人公のハナは、下北沢で友人と古着屋さんを共同経営している37歳。
恋人からは、結婚を申し込まれ…

と書くと、自分の好きな仕事をして、
プロポーズまでされて、
幸せな女性の話か？

と思われそうですが、そうでもないのです。

自分の幸せは「これっ」という明確なものはなく、
でも、嫌なものは嫌。

戸惑うことだらけのまま、年齢だけは重ねていき…。

という女性のお話です。

もしかして、田島は、主人公と自分を重ねてこの本を選んだのか？
と思われそうですが（笑）、
確かに30代で働きながらも、独身という共通項はあるものの、
これは私だ！と思って選んだわけではありません。

私と同じような独身30代の女性が、
何を考え、どんな選択をするのか見てみたくなったのです。

主人公のハナは、私と似ているようで、でも違う。

私は、こう思うけれど、
彼女は、ほう、そうきたか。
頭では理解できても、共感はできないなあ。

あ、この、理解できる部分と、共感できない部分。

何かと似てる。

なんだろう？

と、考えた瞬間、すぐに答えが出てきました。

それは、女友達との関係に近いということ。

まるで、女友達と、
長電話をしているような小説でした。

頼りたくなったり、
かと思えば、急に羨ましくなったり、
必要な存在であることに違いはないのだけど、
時々、めんどくさいと思ったり。（笑）

そんな女性の揺れまくる心の動きが描かれています。

普通の女性の普通の悩みと言うと、
退屈しそうな感じもしますが、
この本は、全くそんなんことはありませんでした。

それは、彼女が周りに流されそうでいて、流されないから。

だから、読んでいて気持ちよかったのかもしれません。

なんといっても、笑えたのは、
恋人から、

「結婚してやる。ちゃんとしてやんなきゃな」

と上から目線で言われた瞬間、

「なんかつまんねえ」

と思ってしまったという部分。

なんとなく、わかる気がしたのです。

自分でも同じ気持ちになってしまうかも、
と思ったら、思わず本を読みながら笑ってしまいました。（笑）

ん？

だからお前も結婚できないんだ！って？

はいはい。きっと、そうですね。（笑）

・・・

さて、もう1冊は、まさに「女の友情」がテーマの短篇小説集です。

群ようこさんの『でも女』という本です。

1994年に集英社から単行本として出版された本です。
今から18年も前ですので、
この本を読んだことのある方は多いかもしれませんね。

恥ずかしながら、私が読むのは初めてでした。

20年近く前ということで、
ところどころバブルの香りがしていますが（笑）、
でも、女性が考えていることや悩みは変わらないものなんだなあと、
しみじみ思ってしまいました。

この本には、たくさんの女性たちが出てきます。

幼稚園児、主婦、働く女性など。

ちなみに、表題の『でも女』というのは、
人の発言に対して「でも、」とすぐ否定する女性の話です。

ぱっとこのタイトルを見た時、
色んなことがあるけれど、でも、女でよかった！
というような話かと思ったら、違いました。（笑）

「でも、」と否定をしまくる女のことでした。

その他にも様々な話があります。
顔はかわいいのに体が大きく、おっとりした女性の話「姫だるま」、
バブルがはじけて、節約をはじめたママの話「ママチャリ部隊」、
マンションの隣の夫婦のことが気になって仕方ない女性の話「隣小姑」など。

あっはっは〜と笑ったかと思えば、
ああ、これが私だと苦笑いしたり、
せつなさを感じたり、むかっときたり。

本なんか読まなくたって、
いつも女性たちは、誰かの噂をしたり、悪口を言ったりしているんじゃないの？
それなのに、さらに他の人の人生に首を突っ込むの？
と思う男性もいるかもしれないけれど、
そんな男性こそ、
不器用ながらも、一生懸命、時には都合よく？生きている
女性たちのお話に聞き耳を立ててみてください。