きみはいい子
2012年7月18日
今日のキノコレ(grace13:45頃〜オンエアー)は、
初登場!紀伊國屋書店富山店の野坂さんからオススメ本をご紹介いただきます。
まずは、野坂さんのオススメ文を読んでみてください。
⇒ http://www.fmtoyama.co.jp/program/program_info_1701.html
読みましたか?
という、話題の本なのです。
でも、わーはっは!と笑ったり、
なんて優しいんだと心があたたかくなったり、
ヒーローが活躍してスカッとしたりするような、
そんなお話ではありません。
私は、小説として面白かった時、
内容が卑猥だろうが、残虐であろうが、
「面白かった」と言います。
それは、その事実が面白いのではなく、
あくまでも作品として面白かったということです。
でも、この本は、「面白かった」とは言えません。
では、つまらなかったのか?
と言えば、そうじゃない。
「いい本」とも違う。
表現が難しい…。
実は、この本を読んだのは、だいぶ前なのですが、
なかなか感想が書けず、ねかせていました。
そして、その熟成期間中にわかったことは、
「読むべき本」
かな、と。
本の帯にも書かれているけれど、
「それぞれの家にそれぞれの事情があり、
いろんなものを抱えて生きている」
そんな人たちのお話です。
では、そのいろんなものとどう向き合っていくのか、
知りたくありませんか?
是非、登場人物たちの心の動きをのぞいてみてください。
自分と無関係の世界かもしれないけれど、
とても現実味を帯びて心に響くと思います。
例えば、色々うまくいかず、
結局、私のことなんて誰も助けてくれない。
私なんて…。
と思ってしまった時、
この本のページをめくってみてください。
最初は、いたたまれなくなったり、
この人より自分の方が絶対に辛い、と思ったりするかもしれない。
でも、読んでいるうちに、
少しずつ、心に変化が生じていくのが感じられると思います。
この本を読んだ後は、
逃げていた自分と少し向き合えるようになるかもしれません。
この本を読んだ、小説家の宮下奈都さんが、
「私たちは生きている限り、誰かの力になれる」
と感想をおっしゃっていましたが、
まさに、そのとおりだと思いました。
そして、本を読み終えた時、
本のタイトルが、とても優しく響きました。
同じ文字ですが、受け止める人の心次第で、
違う温度を伴うものですね。
「きみはいい子」
さて、いまのあなたには、この言葉はどう響く?