17『早雲の軍配者』
2011年3月21日
ちょうど1年前の発売以来、大反響の嵐で、
本読みのプロが選ぶ『週刊朝日』の歴史・時代小説べスト10ランキングで1位を獲得した、
富樫倫太郎(とがし・りんたろう)さんの『早雲の軍配者(そううんのぐんばいしゃ)』を読みました。
今日のキノコレ(13:45頃からオンエアー)で、
紀伊國屋書店富山店の朝加さんからご紹介頂く本です。
朝加さんの紹介文はコチラ↓(言葉の説明などわかりやすいですので是非読んでみて♪)
http://www.fmtoyama.co.jp/program/program_info_1197.html
早雲とは、伊勢 宗瑞(いせ そうずい)とも呼ばれる、北条 早雲のこと。通称、韮山さま。
韮山さまから学問の才を見出された風間小太郎(後の風摩小太郎)は、
足利学校で軍配者として必要な知識を学びます。
軍配者とは、簡単に言えば、戦をするにあたり、戦略、占い、天候など、
武将のフォローとういうかアドバイスをする人のこと。
そのため、あらゆる面でかしこくなければなれません。
主人公の小太郎は、家族思いでかしこい13歳。
両親を亡くしたため、自ら働き、幼い妹を育てています。
小太郎は、勉強ができるだけでなく、人としても素直でまっすぐな少年です。
そんな彼が様々な人と出会い、学び、成長していく様子が描かれています。
足利学校では、山本勘助らかけがえのない友との出会いもあります。
時代小説というと、やや難しそうなイメージがありますが、
この本は、表現は確かに時代小説らしい独特なものですが、
作品に勢いがあるので、言い回しはあまり気になりません。
また、お主も悪よのう的悪人がそれほど出てこないことや、
感覚が今っぽいところも、読みやすい理由の1つかもしれません。
また、若き軍配者の卵たちの友情も、まるで今の男子高校のような感じで楽しいですし。
それから、もうひとつ。
本の表紙が、まるでマンガか?と思えるような主人公のイラストなのです。
さらに、本に折り込まれた広告には、主な登場人物のイラストも書かれています。
彼らの顔を見てしまうと、頭の中にはそのイラストの顔が残り、
本を読んでいるというより、マンガを読んでいるような気分です。
ちなみに、足利学校で出会った冬之助は、超イケメン。(笑)
勉強はちょっと苦手だけど、戦の才能はあるというイケメン。
どうです?女子が好きそうでしょ?
という点からも、この作品が女性たちから支持されているのがわかります。
そのほか、私がこの作品を読んで感じたのは、
何をするにも「考える」ことが大切なんだなということ。
軍配者たちは、戦について考えることが主ですが、
でも、それは、今の私たち一人一人にも同じことが言えると思います。
今、自分は何をしなければいけないのか?
あることをするのに、何が一番いい方法か。
主人公の小太郎は、とにかく考えます。
学んだことの中から、自分の答えを見つけていきます。
時間が経つ感覚を無くしてしまうほどに面白く、楽しめただけでなく、
学ぶことの多い作品でもありました。
この「軍配者」は、シリーズ化されています。
今は、『信玄の軍配者』が発売されているそうですので、あわせて読んでみてください。