45 檸檬のころ
2010年8月9日
学生の皆さんは、夏休み中ですね。
夏休み、満喫していますか?
『grace』にも毎日のように、10代の学生さんたちからメッセージが届きます。
ありがとね〜。
この時期は、10代の方も聞いてくれていますので、
今日は、高校生が主人公の本をご紹介します。
数年前に映画化もされました。ご覧になった方はいますか?
私は、見ていません。でも、小説を読んだら、見たくなりましたが。
タイトルの「檸檬」という響きからして、
青春の香りがプンプン漂ってきますが、
この本は、そんな青春ド真ん中にいる高校生たちのお話です。
田舎の進学校に通う生徒たちが主人公の、連作短編集で、
主人公が入れ替わりながら、ゆっくりと話が進んでいきます。
登場人物は、皆、どこにでもいそうな人々。
友情、恋愛、将来…。
それぞれが、何かしらの悩みを抱えています。
ちょっとした言動に一喜一憂し、
小さな出来事を、頭の中でとても大きなことに変えてしまうのが、この頃なんですよね。
私も、当時、どれだけ、悩んだか。(笑)
『檸檬のころ』を読んでいると、ついこの間まで、私も高校生だったような錯覚を起こします。
それくらい、体感させる力があります。
豊島ミホさんが、この本を書かれたのが、20代の前半ということもあり、
まだ高校時代の思い出が瑞々しく残っていたというのもあるのでしょうが、
ちょっとした出来事を描くのが、とても巧い!
本を読みながら、自分も同じ学校の1人の生徒として、
同級生の様子を見ている、もしくは、自分の心の中の言葉のようで、
何とも言えない、嬉しさや居心地の悪さをまさに体感していました。
本心を言えない女友達とのぎこちない関係、
友達と好きな女子がかぶってしまった男子、
自分の夢にまっすぐな女子、
大好きな彼といることよりも東京の大学を選んだ女子。
『檸檬のころ』に出てくる高校生たちです。
今、まさに、高校生の皆さんはもちろん、
高校時代をもう一度味わってみたいな、という大人の皆さん、是非、読んでみてください。
そうそう、タイトルの「檸檬」は、
実際に、小説の中に、あるものの香りとして登場します。
私は、それが、すぐにどんな香りか、よみがえってきました。
今はもう選ぶことは無いけれど、
確かに、昔は、使っていたな、と。
私には、その香りが、一番懐かしかったです。
久しぶりに使ってみようかな。
いや、やっぱり恥ずかしいからやめとこう。