9『借金取りの王子』
2010年2月2日
1月11日のブログで、
現在、NHKでドラマ化されている、
垣根涼介さんの小説『君たちに明日はない』をご紹介しましたが、
とても面白かったので、続編の『借金取りの王子』も読みました。
主人公は、リストラ請負会社に勤める村上真介、33歳。
リストラを希望する会社から依頼を受け、リストラ候補者を面接をする仕事です。
今回の面接相手も皆、個性豊かでした。
そして、今作には、前作には無かったある特徴がありました。それは「女性」です。
文庫の解説に「女性の人間描写、つまり女の仕事っぷりがテーマ」ありまして、
思わず、「なるほど!」と声を出してしまったほどに納得させられました。
面接相手が女性、もしくは、女性と深くかかわりのある男性なのです。
だからなのか、前作よりも、より惹きこまれました。
仕事をしていて、ふとした瞬間に、自分は本当にこの仕事をしていていいのか、とか、
なんか辞めたいな、とか、働く人なら一度は頭に浮かんだことがあると思うのです。
と同時に、もし本当に今この仕事を辞めたら、とか、別の仕事を始めたら、とか、
その先のことも合わせて考えたのではないでしょうか。
そんな、仕事をする上で、誰もが感じる疑問・不安などのリアルな思いが綴られ、
他人事とは思えず、どの女性に対しても共感できました。
最後まで、思う存分、楽しませていただきました。
仕事がテーマになっているので、
できれば、平日夜に、毎日ちょっとずつ読むのがいいかも。
一応、連作短編集になっているので、わけやすいですしね。
もちろん、休日に読んでもいいけれど、
お休みの日は、仕事のことは考えない方がいいかなと思って。
あ、このシリーズを読むときには、先に、
『俺たちに明日はない』を読んでくださいね!
既に2冊とも文庫化されていますので、是非、通勤かばんの中に忍ばせて、
毎日ちょっとずつ読んでみて下さい。