ゆきれぽ

2025年3月26日

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『風待荘へようこそ』

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同世代で輝いている人を見て、羨ましく感じること、ありませんか。

人によって優先順位も幸せだと感じることも違う!
と頭ではわかっていても、心ではそう思えなかったりしませんか。

そして、「私の人生どこで間違えた?」「何でこうなってしまったのだろう…」
と出来もしないのにドラマのように過去に戻ってやり直したいと
無駄な妄想をしてしまうこと、ありません?

私は時々あります。(笑)

でも、過去に戻らなくても、変われるということに、この本を読んで気付かされました。

今日は、いきなり夫から離婚を切り出され、娘も夫と暮らしたいと言ったため、
ひとりぼっちになってしまった40代の女性の物語をご紹介します。

『風待荘へようこそ』
近藤史恵
株式会社KADOKAWA

タイトルの「風待荘(かぜまちそう)」は、京都にある小さなゲストハウスのことです。
ここに、離婚をしたばかりの眞夏(まなつ)が東京から一人でやってきます。
ひょんな巡り合わせでゲストハウスのオーナーから誘われ、仕事を手伝うことになったのです。
眞夏は誰も自分のことを知らない場所で、
しばらく気持ちを整理してみようと仕事を引き受けたのでした。

彼女はゲストハウスと同じ敷地内にあるシェアハウスに暮らすのですが、
同居する四人の女性たちがそれぞれにいいキャラで、私も一緒に暮らしたくなったほどです。

年齢も職業もバラバラな四人(ひとりはアイスランド人)の女性との暮らしの中で、
眞夏は少しずつ変わっていきます。

また、ゲストハウスを利用する海外からのお客様との交流も彼女に刺激を与えます。

それから、料理も彼女を変えるきっかけをくれたひとつです。
料理好きな眞夏にとってシェアハウス内にある古い台所で料理をするのは楽しい時間でした。

時にはお店に食べに行くこともあるのですが、
出てくる料理がどれも美味しそうでお腹が空いて困ります。(笑)
例えば、黒豆のおこわおむすび、漬物鍋、ふわふわのだし巻卵のサンド、
レトロな喫茶店のゼリーポンチフロートなど。
あー食べたい。いつか京都に食べに行こう。

さて、そんな京都での暮らしの中で、眞夏は少しずつ傷ついた心が癒やされていきます。

そして、このままのんびりと京都での暮らしが続ていくのかなと思いきや、
ここから物語は動いていきます。
続きは本を読んでお楽しみください。

✳︎

眞夏は、料理が好きとは言え、あくまでも普通の40代の女性です。
そして自己肯定感が低めで、どうせ私なんて…と思いがちです。
もうこんな年齢だし、ずっと仕事をしていないし、こんなこと私が言ったら迷惑よね、などなど。

正直なことを言うと、最初はそんな彼女に対し、
もー、ネチネチし過ぎ。もっと自分に自信を持ちなよ!と思ってしまったのですが、
だからこそ、そんな彼女が変わっていくことが嬉しかったです。

◯◯さんの奥さんでも、◯◯ちゃんのママでもなく、
「眞夏」という一人の女性として前を向いていく姿がとても素敵でした。

はじまりの季節の今、読むのにぴったりです。
この本を読んだ後は、眞夏が癒されたように、読者の心も癒され、
そして前向きな気持ちになっていると思います。(私はなりました!)

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