ゆきれぽ

2025年3月5日

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『あえのがたり』

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まもなく東日本大震災から14年ですが、去年元日には能登半島でも大きな地震が起きました。

今日ご紹介する本は、能登半島を応援することを目的に書かれたチャリティ小説です。

『あえのがたり』
講談社

今日は3月最初のゆきれぽですので、明文堂書店とのコラボ回!
明文堂書店 高岡射水店の書籍担当 野口さんのオススメ本です。

さて、このチャリティ小説企画は、
作家の今村翔吾さん小川哲さん加藤シゲアキさん
3名の同世代の作家さんたちの呼びかけではじまったそうで、
本には趣旨に賛同した作家さんたち、合計10名の作品が収録されています。

メンバーは、朝井リョウさん麻布競馬場さん荒木あかねさん
今村昌弘さん佐藤究さん蝉谷めぐ実さん柚木麻子さんという豪華な顔ぶれです。

なお、表紙の「絵」は、加藤シゲアキさんが
「輪島塗り」にインスピレーションを受けて手がかけたものだそうですよ。
多才すぎる!

また、『あえのがたり』というタイトルは、
能登地方に伝わる伝統儀礼「あえのこと」から、つけたのだとか。
「あえのこと」は「田の神様」へ感謝をささげる儀礼で、
「あえ=おもてなし」「こと=祭り」という意味だそうです。

『あえのがたり』は、「おもてなし」をテーマに
作家さんたちに一万字で物語を書いてもらったそうですが、それぞれタイプが異なっていて、
次はどんなお話だろう?というワクワク感がありましたし、実際どのお話も面白かったです。
また、ホッとしたり、ウルっとしたり、どの作品も読んだ後に心がじわっと温かくなりました。

10のお話のうち特に私が好きなのは、蝉谷めぐ実さんの「溶姫の赤門」です。
加賀藩主へ輿入れすることになった徳川の姫「溶姫」のお話です。
蝉谷さんの作品は読んだ瞬間、蝉谷さんの文章だとわかります。
文章のリズムが心地良く、まるでお喋りを聞いているかのようなのです。
だから物語にぐいぐい引っ張られていきます。
今回も最後まで滑らかで美しい文章でした。
そして、とてもいいお話でした。

一方、小川哲さんの「エデンの東」は、笑いが止まりませんでした。(笑)
こちらは担当編集者から「もっとわかりやすくしてほしい」と言われ、
怒りつつもわかりやすい小説を書くことにした小説家のお話なのですが、いやあ、笑った!
どんな小説に生まれ変わったかは、ぜひ本を読んでお確かめください。

他にも、今っぽさが切り取られた朝井リョウさんの「うらあり」や、
ドキドキしながら読んだ今村昌弘さんの「予約者のいないケーキ」、
危なっかしさがありつつも気になってしまう
柚木麻子さんの「限界遠藤のおもてなしチャレンジ」など、
どのお話もそれぞれ面白かったです。

ではここで、この本を大プッシュされている
明文堂書店 高岡射水店 書籍担当 野口さんのコメントをご紹介します。

✳︎

まさに十人十色!
一万字に詰まった「おもてなし」は、最高の味が奏でるフルコース。
どのお話からでも読める楽しさもたまりません!
あらためて、小説の面白さを実感しました。

✳︎

チャリティ小説『あえのがたり』は、
著者の印税相当額と講談社の売上利益相当額を
能登半島の復興支援のために寄付される予定だということです。

『あえのがたり』は、富山県内の明文堂書店全店
「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にもありますので、
ぜひチェックしてみてください。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

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