
2025年2月26日
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『カラー版 西洋絵画のお約束 謎を解く50のキーワード』
私は美術館が好きでよく行くのですが、
作品を見る際は、まず一度ゆっくり見てから、解説を読んで、
その後、再び作品を見るようにしています。
すると時には別の作品かと思うくらいに見え方が変わることがあります。
自分の感じるままに見るのもいい時間ですが、知識を得てから見ると、より楽しめるものです。
今日はそんな絵の見方が学べる本をご紹介します。
『カラー版 西洋絵画のお約束 謎を解く50のキーワード』
中野京子
中公新書ラクレ
先日、本屋さんに行った時に店内をぶらぶらしながら見つけた本です。
本の帯の「ヒントは常に絵の中にある」の言葉に惹かれ手に取ってみました。
著者の中野さんは、『怖い絵』シリーズでお馴染みの作家・ドイツ文学者です。
『西洋絵画のお約束』は、タイトルの通り、西洋絵画のお約束が学べる本です。
西洋絵画には絵に意味があって、読み解くための「絵の言語」があるのだとか。
例えば、美女の絵に薔薇があればヴィーナス、百合が添えられていればマリアといった感じです。
中野さんは、そういった言語、シンボルがわかれば、
絵画鑑賞はぐんと楽しくなるよ、とおっしゃいます。
この本には、実際の作品(それもカラー!)が掲載されていますので、
絵を見て、そして解説を読んでと、まさに美術館にいる気分で楽しめます。
しかも、その解説がわかりやすくて面白いので、とても楽しい時間を過ごせます。
絵を読み解く手がかりはテーマ別になっています。
「植物」の章から始まり、「天体・自然」「動物・虫」「食べ物」など12の章に分かれ、
さらに細かく50のキーワードが取り上げられています。
いくつかご紹介しましょう。
まずは「ハエ」。
わざわざ素敵な絵にハエを描く理由の一つは、画家が自分の腕を自慢するためなんですって。
絵を見ている人に「こんなところにハエがとまっている。いや、これは絵だ。なんてリアルなんだ!」
と思ってもらいたくて、あえてハエを描いているのだとか。(笑)
「子供服」のお話も印象に残りました。
古来、四歳くらいまでの男の子には、ある理由から女の子の服を着せていたそうです。
つまり、絵の中の女の子の服を着た子供が女の子とは限らないということです。
だから画家はこの子は男の子ですよというヒントを絵に残していたのだとか。
そのヒントについては本を読んでお確かめください。
こんな感じで『西洋絵画のお約束』には、
ただ絵を見ただけではわからない、絵を読み解くための手がかりがわかりやすく紹介されています。
また西洋絵画に描かれることが多いギリシャ神話にまつわる解説も面白かったです。
ギリシャ神話には嫉妬や失敗エピソードが多く…というかほとんどがそういったお話なのですが、
そんな話を知った上で絵を見ると、パッと見美しい絵も人間臭く見えて
(いや、神様だからこの表現は間違ってるかも。笑)、楽しく鑑賞できました。
アートの見方を学べるのはもちろん、読み物として楽しい一冊ですので、
普段絵を見ない方もぜひ読んでみてください。
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プロフィール
田島 悠紀子
Tajima Yukiko
7月13日生まれ。群馬県出身。
B型。 -
担当番組
・富山ダイハツ オッケイウィークエンド
(毎週土曜 11:00~11:55)・ヨリミチトソラ
(毎週水曜・木曜 16:20~19:00) -
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