ゆきれぽ

2025年2月19日

  • #本

『謎の香りはパン屋から』

この記事をシェアする

X LINE facebook

どうしても焼き立てのパンが食べたくなって、お昼にパン屋さんに行ってきました。
お店に入る前からいい香りがして、幸せな気持ちになりました。
そして買いすぎました。(笑)

なぜこんなにパンが食べたくなったのかと言うと、この本を読んだからです。

『謎の香りはパン屋から』
土屋うさぎ
宝島社

この本は、2025年第23回『このミステリーがすごい!』大賞の大賞受賞作です。

通称『このミス』は、宝島社のブックガイド『このミステリーがすごい!』から生まれた
ミステリー&エンターテインメントの公募新人賞です。

過去にはドラマ化された海堂尊さんの『チーム・バチスタの栄光』や、
新川帆立さんの『元彼の遺言状』などが大賞を受賞しています。

『謎の香りはパン屋から』も、いずれドラマ化されそうな予感。

ちなみに著者の土屋うさぎさんは、漫画家としても活動している方です。
また、パン屋さんでアルバイトをした経験もあるのだとか。

物語はパン屋さんが舞台の連作ミステリです。
と言っても大きな事件が起こるわけではありません。
パン屋さんで起きた日常の謎をアルバイトの大学生が解いていきます。

謎を解くのは、漫画家になることを夢見ている大学一年生の小春です。
彼女は売れ残りのパンがもらえるという理由から
パン屋さんでアルバイトを始めた普通の大学生なのですが、
観察力が鋭く、日常のちょっとした謎をすみやかに解決していきます。

物語は5章にわかれた連作短編集で、章ごとにパンがタイトルについています。

最初の物語のタイトルは「焦げたクロワッサン」。

小春は、同じパン屋さんで働く親友の由貴子と一緒に
推しのライブビューイングに行く予定だったのに、ドタキャンされてしまいます。
誘ってきたのは彼女なのに、なぜ突然行けなくなってしまったのでしょう。

3番目の「恋するシナモンロール」は、
パン屋さんのカフェスペースを利用していた、とある高校生男女のお話です。
最初は楽しそうな二人でしたが、あることを機に空気がガラリと変わってしまいます。
いったい二人に何があったのでしょう。

最後の「思い出のカレーパン」は、
お店にやってきた老婦人から
「昔食べていた思い出のカレーパンを探している」
と言われた小春が先輩たちと市内のパン屋さんを巡るというお話です。
お目当てのカレーパンは、どんなパンなのでしょう。

という感じで派手なお話ではないものの、
普通の人たちの普通の物語だからこそ、ほっこりします。
そして全体的に優しさに包まれています。

また、パン屋さんが舞台なので、パンが食べたくなります。
そのうえ様々なパンのうんちくも書かれているので、勉強にもなります。
ですから、ぜひ焼き立てのパンをお供に読んでみてください。
きっと作品の世界をより楽しめると思います。

また、著者が漫画家ということもあって、
小説なのだけど、漫画を読んでいるかのようでもありました。
頭の中に絵が浮かびやすいのです。それにテンポもいいし。
そういう意味では、本はちょっと苦手という方でも読みやすいと思いますよー。

あと、石川県出身の登場人物も出てきますので、北陸の方はより楽しめるかと。
富山の皆さんは、方言ですぐに気付くはず。