68 川上未映子『ヘヴン』
2009年12月7日
川上未映子さんの『ヘヴン』を読みました。
いじめが題材になっています。
私は、この手の本は、はっきり言って苦手です。
きっとみんなそうだと思いますが、
本を読んでいる間は、主人公に自分を重ねてしまうため、
同じ痛みを味わうのが辛いのです。
でも、今回、読み終えて思ったのは、読んでよかった、ということ。
確かに辛かった。
でも、残った感情は、それだけではありませんでした。
私が、読書が好きな理由の1つに、
「様々な考えの人に出会う」というのがあります。
もちろん、生身の人間に会うことも大切だけれど、
本には彼らの心の中が丁寧に描かれいるから、
人の気持ちにどこまでも近づけるのが好きなのです。
本を読めば読むほど、世界が広がり、私の考え方の幅も広がる、
ということを、今回、あらためて思いました。
例えば、この本だったら、
「いじめ」の受け止め方は、人それぞれだということが書かれていました。
物事の捉え方も。
捉え方ひとつで、物事の見え方は、大きく変わります。
登場人物たちが発する言葉によって、
私の心がかき乱される感覚を何度も味わいました。
自分の中には無い考え方もたくさんありました。
すぐに「みんな」という言葉を使っていしまいがちだけれど、
その言葉は「全員」というわけではないのですよね。
『ヘヴン』、出会えて、そして気付けてよかったです。