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『小鳥とリムジン』

2024年11月6日

今日は、昼前から陽射しが感じられましたが、
晴れている日に、部屋の窓を開けて換気をすると気持ちいいですよね。

では、あなたの心はどうでしょう。
心の中を換気してますか?

今日は、心の中を換気できそうな一冊をご紹介しましょう。

『小鳥とリムジン』
小川糸
株式会社ポプラ社

ヨリミチトソラでは、毎週水曜の18時半過ぎから
このブログとの連動で本の紹介をしていますが、
毎月第1週は明文堂書店とのコラボ回!
今日は、本を愛する高岡射水店 書籍担当 野口さんのオススメ本です。

『小鳥とリムジン』は、先月9日に発売されたばかりの小川糸さんの最新小説です。
発売から一ヶ月も経っていないのに、早くも5万部を突破したのだとか。すごい!

小川さんは、映画化もされた2008年のデビュー作
『食堂かたつむり』でおなじみの人気作家さんです。
私は、デビュー作はもちろん、ドラマ化された『ライオンのおやつ』も好きです。

『食堂かたつむり』では「食べること」、
『ライオンのおやつ』では「死に向き合うこと」からの再生、
つまり「生きること」を描いてきた小川さんですが、
今回のテーマは「人を愛すること」です。

本のタイトルの『小鳥とリムジン』は、それぞれ人の名前です。
主人公は、家族に恵まれず過酷な子ども時代を過ごした小鳥という女性です。
リムジンは、お弁当屋さんの店主の名前です。
小鳥は、そのお弁当屋さんの前を通るとき、中に入ってみたいと思うのですが、
人と接することが得意でない彼女は、ドアを開けられずにいます。

ですが、ある日ついにドアを開けます。

深い傷を負って、自分の人生をあきらめていた小鳥でしたが、
様々な人との出会いによって、徐々に心と体を取り戻していきます。

物語には、そんな小鳥の幼少期から今に至るまでが、丁寧に紡がれています。
正直、子どもの頃の描写は読んでいるだけで辛くなります。
何度、本を閉じようと思ったか。
中には、この本読むのもう嫌だ、と思う方もいるかもしれません。
そんな時は無理をしなくてもいいと思いますが、
読めそうだなと思える時が来たら、ぜひまた本を開いてみてください。
小鳥がお弁当屋さんのドアを開けたように。

一歩前に進むことで、世界の印象がガラリと変わったりするものです。
小鳥もある時から「世界が柔らかい」と感じるようになります。

それこそ、この本を読む前と後では、
あなた自身の身の回りの印象も変わって見えるのではないかしら。
それもいい方に。

本を読み終えた時、あなたには世界がどのように感じられるでしょう?
ぜひ確かめてみてください。

とてもいい本でした!
年齢性別問わず、多くの人に読んでいただきたい一冊です。
特に若い方たちに届いてほしいなあ。

その理由は、この本を大プッシュされている
明文堂書店 高岡射水店 書籍担当 野口さんのコメントにもあります。

物語を通して、愛を学ぶ!
この一言に尽きます。
「生きる」ことの原点が、シンプルに描かれていると思います。
世界一おいしいモヤシ炒めは絶品ですよ〜。

***

そう、「愛」を学べるのです。
今の時代にこそ必要な物語だと思いました。

なお、「世界一おいしいモヤシ炒め」は、
リムジンによると、「小雨くらいの火加減」で作るのがポイントだそうです。

小雨くらいとはどういうことなのでしょう?
気になる方は、ぜひ本を読んでみてください。

せっかくだから私も今夜、モヤシ炒め作ってみようかな。

この「小雨くらいの火加減」もだけど、
小川さんの文章は、言葉のチョイス含めとても素敵な表現なので、
読んでいるだけで感覚が磨かれる感じがします。

例えば、お弁当屋さんの前を通った時に
「美味しそうな匂い」とか「幸せな匂い」くらいの表現なら、
きっと誰でも思いつくと思うのですが、小川さんは違います。

「店の周辺には、うっすらと調味料で色付けされたカラフルな空気が、
シャボン玉みたいに浮かんでいる」

って、どうですか?
この文章から、主人公のワクワクした気持ちが伝わってきませんか?

ちなみに、これは物語の1ページ目に書かれています。
私は、この文章を読んだ瞬間、「ハイ、好き!」と思いました。
もはや一目ぼれです。(笑)

小川さんならではの豊かな表現も魅力の一冊です。

それから、リムジンの作るお料理がどれもとても美味しそうなので、
空腹のときに読むと、間違いなくお腹が鳴ります。
リムジンのお弁当屋さんが家の近くにあれば、私、絶対に常連になると思うわ。

***

『小鳥とリムジン』の特設サイトには、
第1章のあらすじ漫画が公開されていますので、
まずはこちらから読んでみるのもいいかも。

この本もいつか映像化されそうだな—。

『小鳥とリムジン』は、富山県内の明文堂書店全店
「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にもありますので、
ぜひチェックしてみてね♪

◎明文堂書店のサイトは コチラ

yukikotajima 12:17 pm