『フェイク・マッスル』
2024年10月9日
来週の月曜はスポーツの日です。
あなたは普段から何か運動はしていますか。
ジムでトレーニングをしている方もいるのでは?
ダイエット目的や運動不足解消のために通っている方もいれば、
中にはムキムキの筋肉にあこがれてトレーニングをしている方もいることでしょう。
でも筋肉ってなかなかつかないんですよね。
脂肪はあっという間につくのに!
さて、今日はそんな筋肉にまつわる小説をご紹介します。
『フェイク・マッスル』
日野瑛太郎(ひの・えいたろう)
講談社
こちらは第70回江戸川乱歩賞受賞作です。
江戸川乱歩賞は、ミステリ作家の登竜門と言われる
日本推理作家協会が主催する新人賞です。
人気作家の東野圭吾さんや池井戸潤さんも江戸川乱歩賞の出身です。
そして、記念すべき70回目の受賞作が
今日ご紹介する『フェイク・マッスル』です。
日野さんは去年まで3回連続で最終候補に残り、
今年ついに受賞となったそうです。
おめでとうございます!
***
受賞作の『フェイク・マッスル』は、ある男性の筋肉にまつわる物語です。
人気アイドルの颯太(そうた)が、
たった3ヵ月のトレーニング期間で
ボディービル大会の上位入賞を果たします。
ファンや芸能界から祝福の声が寄せられる一方で、
「あれは偽りの筋肉だ」と、ドーピングを指摘する声も上がります。
ところが颯太は疑惑を完全否定し、
自身がプロデュースしたトレーニングジムオープンさせます。
そして自分がパーソナルトレーニングをおこなうと言います。
それに目をつけた某週刊誌は、
新人記者である健太郎に、疑惑についての潜入取材を命じ、ジムへ入会させます。
健太郎は早速、颯太のパーソナルトレーニングを受けようとするのですが、
受講するには条件がありました。
それは「ベンチプレスの重量80キロを挙げられること」です。
もちろん初心者の健太郎にはできるわけはありません。
そこで、颯太のパーソナルを受けるために、
健太郎はまずはトレーニングを頑張ることにします。
物語は基本的には、記者の健太郎の視点で進んでいきます。
根が真面目な彼は、潜入取材とは言えトレーニングもちゃんとします。
いつからか、トレーニングをすることが普通になっていき、
社内でも「なんか変わったね!」と言われるようになります。
私自身、本を読みながら筋肉やトレーニングについて学べて、
そういう意味でも楽しめたのですが、
この本は、一人の若者が筋肉をつけるためにジムに通ってみた!
という話ではなく、ジム通いはあくまでも潜入取材で、
本来の目的は、人気アイドル颯太の筋肉が本物かどうかを調べることです。
ですから健太郎もただジムに行って体を鍛えているだけではありません。
自分なりに、様々な角度から颯太の筋肉について調べていきます。
果たして颯太の筋肉は本物なのか。
この続きは本を読んでお確かめください。
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面白かったです!
テンポもよく、スピード感もあって、あっという間に読めました。
主人公の健太郎がなんかいいのです。
頼りなさげで、でも真面目で。
決して派手なキャラではないのですが、
応援したくなる若者でした。
江戸川乱歩賞の選考委員の湊かなえさんが、
「潜入取材シリーズとなれば喜んで追っていきたい」
とおっしゃっていたのですが、私も全く同じことを思いました。
健太郎による潜入取材シリーズ、希望します!
さて、今週末は3連休です。
連休最終日はスポーツの日ですし、
スポーツにまつわる小説を読んでみるのもいいのでは。
ちなみに『フェイク・マッスル』を読んだ後、
私は運動をしたくなりました。
私の場合、筋トレではなく走ることですが。