『星影さやかに』
2024年8月7日
原爆が投下されて79年を迎えた広島では、
昨日、平和記念式典が行われました。
明後日は長崎の原爆の日です。
そして、来週の木曜日、8月15日は終戦の日です。
戦争関連のニュースに触れることの多い8月は、
今一度、戦争について考えてみませんか。
今日ご紹介する本も戦争に関する小説です。
そして今日は8月最初の水曜日ですので、明文堂書店とのコラボ回!
本を愛する高岡射水店 書籍担当 野口さんのオススメ本です。
『星影さやかに』
古内一絵
文春文庫
ちょうど今パリではオリンピックが行われていますが、
物語は、東京オリンピックがおこなわれた直後の昭和39年の東京から始まります。
主人公は羽田の町工場で働く28歳の良彦です。
彼のもとに亡き父の日記が届きます。
父は戦時中に周囲から「非国民」と言われて心を病み、
戦争が終わった後もずっと自分の部屋にこもっていました。
そして、良彦はそんな父のことを恥ずかしいと思っていました。
ですが、良彦は亡き父の日記を読んでみることにします。
いったいそこにはどんなことが書かれているのか。
そもそもなぜ父は非国民と呼ばれていたのか。
*
物語は、良彦の少年時代にさかのぼります。
良彦が暮らしていたのは、宮城県の農村です。
部屋にこもってばかりの父に、母、妹、
そして母にも自分にも厳しい祖母の多嘉子と暮らしていました。
最初は良彦の視点で進み、
後半に母親、そして父親の視点も加わり、
私たち読者は、父や母の心の中を知ることなります。
父が非国民と呼ばれた理由をはじめ、
祖母にきつく当たられている母が祖母を悪く言わない理由、
今はいない祖母の夫についてなど、
読み進めるうちに、いろいろなことがわかっていきます。
『星影さやかに』は、戦争のお話でもあり、家族のお話でもあります。
お盆に久しぶりに家族で集まる方もいらっしゃることと思います。
ぜひこの夏は、家族の昔話や戦争のお話を
親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんに聞いてみてはいかがでしょう。
意外な事実や想いに触れることがあるかもしれませんよ。
その前に、ぜひこの本を読んでみてください。
この本を読めば、きっと自分自身の家族のことを聞いてみたくなると思います。
では、ここで、この本をオススメしている
明文堂書店 高岡射水店 書籍担当 野口さんのコメントをご紹介します。
***
戦争を背景に描かれる家族三代の物語。
大人になって、初めてわかる両親や祖父母の想い。
ただ必死に生きる姿に感動します。
女性たちの強さや、たくましさも引き立つ作品です。
お婆さんの多嘉子さん、カッコいいです!
終戦の日を前に、是非お読みください。
***
多嘉子さん、たしかにかっこよかったです。
子どもには、ただただ怖いだけのお婆さんにうつるかもしれないけれど、
一本筋が通っていて、ぶれない強さがあるのです。
いちいち言い訳しないところも素敵です。
ちなみに、この物語は、著者の古内さんの家族がモデルなんだとか。
主人公の良彦は古内さんのお父様なんですって。
また、宮城の方言や文化なども印象的な物語でした。
まさに8月の今読むのにぴったりな一冊です!
文庫でお求めやすいですし、ぜひ。
今日ご紹介した『星影さやかに』は、
富山県内の明文堂書店 全店の
「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にありますので、
ぜひお手に取ってみてくださいね。
◎明文堂書店のサイトは コチラ