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『未必のマクベス』

2024年7月3日

今日は7月の一週目の水曜日ですので、明文堂書店とのコラボ回です。

毎月、本を愛する高岡射水店 書籍担当 野口さんのオススメ本をご紹介していますが、
今回は野口さんだけでなく、北陸の書店員さんたちの推し本でもあります。

これは、北陸のとある書店員さんの「北陸の書店を元気にしたい」
という思いに共感した北陸3県の書店がタッグを組んで、
「心揺さぶられる名作」を推そう!というもので、
今日ご紹介する本は、その、とある書店員さんの推し本です。

『未必のマクベス』
早瀬耕(はやせ・こう)
ハヤカワ文庫

2014年9月に早川書房から単行本として発売され、
当時話題になりましたので、お読みになった方もいるかもしれません。

私は、今回初めて読みました。

タイトルの「マクベス」は、シェイクスピアの四大悲劇の一つです。

マクベス?
聞いたことはあるけれど、どんな話かわかならい…
という方でもご安心ください。

私もそんな一人でしたが、問題ありませんでした。
と言うのも、どんな話か小説の中で紹介されるのです。それも何度も。

物語は2009年のマカオから始まります。
主人公は、東南アジアを中心に交通系ICカードの販売に携わる38歳の男性、中井です。

彼はバンコクでの商談を成功させたあと、マカオを訪れるのですが、
そのマカオでひとりの女性から「あなたの未来を教えてあげる」と、こう告げられます。

「あなたは、王として旅を続けなくてはならない」と。

商談を成功させた中井は、その直後、
香港の子会社に代表取締役として出向することになります。

まさに会社のトップとして海外での勤務が始まり、
これぞ王としての旅ってことか。なんて優雅な旅!と思いきや、
社内には複数のマイクが隠され、常に盗聴されているし、
秘書からは「誰を信用し、誰を警戒すべきが調べたほうがいい」と言われるなど、
犯罪のニオイがプンプンします。

私も新たな登場人物に出会う度、
この人は信用していいのかしら?と疑い続けながら
本のページをめくっていきました。
また、中井自身もそっちに行くのは危険だよ…
という方に進んでいってしまいます。

果たしてこの物語は、というか、中井はどこに向かっていくのか。
ぜひあなた自身の目でお確かめください。

では、ここで明文堂書店 高岡射水店 書籍担当 野口さんのコメントをご紹介します。

「あなたは、王として旅を続けなくてはならない」。
この一文が、この小説を読みたい!と思えたきっかけでした。
壮大な歴史もの?
ミステリー?
シェイクスピア?

この小説の幕が開いたら
たぶんきっと、たぶん
巻き込まれてしまいます。
異国情緒ただよう何とも魅惑的な小説です。

約6年ぶりに再読しました。
北陸から全国へ
願いが届きますように!

***

まさに私も巻き込まれた一人です。
あなたも巻き込まれてみませんか?

それから、別の意味でも私自身、この作品に巻き込まれました。(笑)

というのも、主人公中井の元上司の名前が「たじまゆきこ」なのです。

ふざけているわけではありません。
漢字は違うのですが、なんと私と同じ名前でした。
もうびっくりですよ!こんなの初めてです。

中井がインターネットで「たじまゆきこ」を検索したら
他の「たじまゆきこ」が出てきたという場面があるのですが、
多分その中に私の名前もあったはず、
なんて勝手に妄想して楽しんでしまいました。

さて、このたじまさん含め、中井の周りには様々な女性たちが登場します。
特に高校時代に出会った同級生のことは、卒業後20年経った今も忘れていません。

物語には、中井の高校時代のお話もあるのですが、
犯罪の世界の緊張感とはまた別のドキドキ感がありました。

そう、この小説は、犯罪小説でありながら、恋愛小説でもあるのです。

10代の頃、思いを伝えることは無かったけど好きだったなあ、という人、
あなたにもいませんか?

この夏、そんなあなた自身の過去も思い出しながら、
『未必のマクベス』を読んでみてはいかがでしょう?

東南アジアの熱気や匂いなどのリアルな空気感と共に、
この夏忘れられない一冊になるかもしれませんよ。

あと、きっと中井のお気に入りのカクテル、
キューバリブレを飲んでみたくなるかも。

私は飲んでみたい!

いつかこの作品、映画化される予感がするわ。
中井は、長谷川博己さんに演じてほしいな。

野口さんをはじめ、北陸書店員の皆さんの推し本、『未必のマクベス』は、
富山県内の明文堂書店全店の「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にもあります!

◎明文堂書店のサイトは コチラ

yukikotajima 1:59 pm