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『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』

2024年5月29日

私は本屋さんの中をぶらぶら歩くのが好きです。
なんとなく目に入った本との出会いが楽しいので。

本屋さんでは、新刊本、話題の本などのチェックをして、
雑誌コーナー、文庫もまわって、
あとは、アートコーナーにもよく行きます。

私は美術館に行くのも
アート関連の本を読むのも好きなので、
アートコーナーは欠かせません。

先日も明文堂書店 高岡射水店に行った時、
アートコーナーで何か面白そうな本は無いかなあ
と本棚を眺めていたところ、気になる本を発見しました。

『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』
ちいさな美術館の学芸員
産業編集センター

本の帯には「知れば美術館が10倍面白い!」とあり、
美術館によく行く私は、早速手に取りました。

画家の紹介や絵画の見方を紹介する本は多いですが、
学芸員の仕事や、美術館の舞台裏について知ることのできる本
はなかなかないので、面白そうだなあと思って読んでみることにしました。

著者は「ちいさな美術館の学芸員」とあります。
どうやら都内のとある美術館で働く現役の学芸員さんのようです。

そして、この学芸員さんによるnoteの人気連載を書籍化したのが
この本だそうです。
(※noteは、誰でも情報発信できるWEBサービス)

名前を伏せている分、本音が満載で、
まるで馴染みの学芸員さんとカフェでコーヒーを飲みながら、
こっそり「ここだけの話」を聞いているような気分でした。

ちなみに、学芸員は「美術館の端っこに座っている人」ではありません。
その方は、監視のスタッフです。
これ、よく間違われるそうですよ。

学芸員の仕事は、博物館法によると、
「博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究」をする専門職です。
でも実際は美術館に関することなら何でもやっている方が多いようです。

あと、法律上、美術館と博物館に区別はないのだとか。
また、動物園や水族館も法律上はすべて「博物館」なんですって。

へー。

私はこの本を読みながら何度もこの「へー」を口にしていました。
いつぞやの「へーボタン」があれば推し続けていたと思います。(笑)

*

さて、この本は、4つの章に分かれています。

・一つの展覧会ができるまで
・学芸員という仕事の舞台裏
・美術館をもっと楽しむためのヒント
・美術館をささえる仲間たち

まずは、展覧会がどのように作られているのかから始まります。

富山の美術館でも様々な展覧会が行われていますよね。
私も企画展ごとに各美術館を訪れていますので、
展覧会の舞台裏のお話はとても面白かったです。

例えば、企画展では他の美術館の作品が展示されることもありますが、
美術館同士の作品の貸し借りには、基本的にお金が発生しないのだとか。
(中には例外もあるようですが)
これにはびっくり!
私は、レンタル料も大きな収入の一つかと思っていました。

また、作品を展示する際、最後の仕上げとして大事なのがこれだそうです。
「ライティング」。照明の当て方です。

確かに、どの美術館も照明には力を入れていますよね。
もう展覧会は終わっていますが、
この春、秋水美術館で開催されていた『源氏物語と王朝の美』では、
当時は、屏風をろうそくの明かりで見ていたことから、
赤みを帯びた暗めの照明にして、当時の明かりを再現していまして、
そのこだわりに感動しました。

この本を読んで、今後は作品だけでなく、
ライティングにも注意して鑑賞していきたいと
あらためて思いました。

*

第3章の「美術館をもっと楽しむためのヒント」では、
アートは「無駄」で「役に立たない」かもしれない…と書かれていました。
たしかに今は何かと無駄を嫌いがちな時代ですからね。

でも、著者は、その「無駄」こそ、人間らしく生きるには欠かせないと言います。

おっしゃるとおり!
アートだけでなく、それこそラジオだって、
無くても困らない存在かもしれません。

でも、無駄の良さというのもあるものです。

詳しくは、この第3章を読んで頂きたいのですが、
本当は朗読してラジオでお伝えしたいくらいに共感しました。

と言いつつも、私にとって美術鑑賞は楽しい時間なので、
全く無駄ではないんですけどね!(笑)

*

ということで、いくつか抜粋してご紹介しました。
本屋さんで偶然出会った本でしたが、とても面白かったです。

本音満載の話し言葉で、楽しく気軽に読めましたし、
何より次、美術館に行くのがさらに楽しみになりました。

さっそく近々、富山県美術館のエッシャー展に行く予定なので、
この本に書かれていたヒントを参考に楽しんできます♪

アート好きな方はもちろん、
アートは難しくてよくわからないという方もぜひ、
この本を読んでみてください。

きっと美術館がより身近に感じられると思いますよー。

yukikotajima 12:24 pm