『家族解散まで千キロメートル』
2024年5月22日
私が担当している番組には、家族について書かれたメッセージがよく届きます。
お子さんの可愛いエピソードに誕生日のお祝いメッセージ、
時には夫や妻に対する愚痴などもありますが、
どのメッセージからも家族を大事に思っていることは伝わってきます。
そんな大切な家族に、あなたは嘘をついたことはありますか?
今日ご紹介するのは、「わが家は嘘で出来ている」という、ある家族の物語です。
『家族解散まで千キロメートル』
浅倉秋成(あさくら・あきなり)
株式会社KADOKAWA
今注目のミステリ作家、浅倉秋成さんの新作です。
浅倉さんと言えば、2021年に刊行した
『六人の嘘つきな大学生』が話題となりましたが、
なんと、今年の11月に映画化されるそうですよ。
おめでとうございます〜!
◎映画の公式サイトは コチラ
そして私、この本をまだ読んでいなかったことに気づき、
まずはこちらから読んでみました。
『六人の嘘つきな大学生』は、
とある企業の最終選考に残った六人の就活生たちの物語です。
最初は仲良く交流を深めていたものの、
内定者はこの中から一人だけとわかるや否や全員がライバルに。
そんな中、彼らが隠していた嘘が明らかになり…
という、ドキドキ感がたまらない大変面白い一冊でした。
私は映画の配役を知ったうえで読んだので、
もうすっかり映画を見た気になっています。(笑)
もちろん実際の映画も楽しみですが。
ちなみに配役はピッタリです。
*
さて、就活生の嘘の次は、家族の嘘です。
続けて『家族解散まで千キロメートル』を読みました。
こちらもとーっても面白かったです。
『六人の嘘つきな大学生』とはまた別のスリリングな展開で、
ノンストップで最後まで読んでしまいました。
2冊とも騙されまい!と思って意気込んだものの、見事に二度読み。。。
ま、本に騙されるのは嫌いじゃないんですけどねー。(と強がってみた。笑)
さて、『家族解散まで千キロメートル』は、ある家族、喜佐家(きさけ)のお話です。
喜佐家では、古びた実家を取り壊して、
両親はマンションへ転居、姉は結婚、そして弟は独立することになります。
そして、引っ越しの3日前、家族で片づけをしていたところ、
倉庫で見慣れない大きな箱を見つけます。
中を開けてみれば、出てきたのは仏像でした。
何これ?と思った直後、
テレビのニュースで「青森の神社でご神体が盗まれた」とあり、
あらためて仏像を見れば、そのご神体にそっくり。。。
宮司が「今日中に返してくれるなら罪には問わない」と言っていたことから、
家族は、彼らの住む山梨から神社のある青森まで
車でご神体を返しに行くことにします。
ちなみに、家族と言っても、そこに父はいません。
生きてはいるものの、いつもふらふらどこかに出かけてしまうのです。
また何かと問題も多いため、
家族は、このご神体を盗んだのは父に違いないと思ったわけです。
到着予想時刻はギリギリです。果たして間に合うのか。
そもそも、なぜこんなことになっているのか。
ここから怒涛の家族ドライブが始まります。
この先は、ぜひ皆さんも喜佐家と共に
車に乗っている気分で本を読んでみてください。
*
私も喜佐家のドライブにお供しましたが、
いやあ、いろいろな意味で驚かされました。
でも、ただびっくりして終わりではなく、
考えさせられることも多かったです。
物語が面白いから読むスピードもどんどん上がってしまうのだけど、
そのまま一瞬で景色が流れ去っていくのではなく、
登場人物の発した言葉に、思わず立ち止まって一緒に考えてしまうような、
そんな瞬間が何度もありました。
ネタバレになってしまうので、
具体的にここが良かった!という話ができないのが
なんとももどかしい。うううー。
ミステリとしても家族小説としても大変面白い一冊でした。
この作品もいずれ映画化されそうだなー。
*
『家族解散まで千キロメートル』の特設サイトでは、
95ページまで試し読みができますので、
まずはこちらからチェックしてみるのもいいかも。
でも、途中まで読んだら間違いなく続きが気になると思いますが。(笑)
◎特設サイトは コチラ
それでは、あなたも喜佐家のドライブにいってらっしゃ〜い♪