『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』
2024年4月24日
ここのところ、本屋大賞絡みの本を取り上げてきましたが、
今日は、「2024新書大賞」受賞作をご紹介します。
「新書大賞」は、中央公論新社の主催で、
1年間に刊行されたすべての新書から、
その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。
本屋大賞は、全国の書店員が選びますが、
新書大賞は、有識者、書店員、各社新書編集部、新聞記者など
新書に造詣の深い方々の投票で決まります。
今年の大賞は、こちらです。
『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』
今井むつみ/秋田喜美(あきた・きみ)
中公新書
この本は、去年5月に発売され、話題になった本ですが、
大賞を受賞したことで、今また注目を浴びているようですよ。
私も大賞受賞を機に読んでみました。
ですが、読み始めてすぐに
「ん?どこかで読んだことがあるような」と思い、
調べたところ、2022年に読んだ
『フリースタイル言語学』を思い出したのでした。
◎詳しくは コチラ
『フリースタイル言語学』もまさに「言語」について書かれた本です。
こちらはわりと軽いノリで、言語を学べますので、
ぜひあわせてお読みください。
さて、今回の『言語の本質』は、お二人の方が執筆されています。
認知科学者と言語学者が、
「言語の本質とは何か」を共に考え、執筆したものです。
お二人は、オノマトペについて考えていたら、
そこから新たな問いがいくつも生まれ、
「言語の本質とは何か」という問いに突き当たったそうです。
ですから前半はオノマトペが中心です。
オノマトペは、もぐもぐ、げらげら、ドキドキ、ワクワクなどの言葉です。
日本人なら、これらのオノマトペを聞いただけで、
なんとなくイメージがわきますよね?
でも、日本語がわからない方には、理解が難しいようで、
たとえば「髪の毛のサラサラとツルツル」の区別がつかないそうです。
逆の場合もあります。
突然ですが、ここでクイズ!
南アフリカのツワナ語で「ニェディ」は、物体の視覚的な様子を表します。
さて、どんな様子でしょうか。
言葉のイメージから想像してみてください。
正解は…
「キラキラ」です。
正解しましたか?
私は、まったくわかりませんでした。
その一方で、音からなんとくこういう意味かな?
とイメージがしやすいものもあるようです。
オノマトペではないのですが、音に関するクイズです。
ベトナム語の「メム」と「クン」、柔らかいことを表すのはどっち?
正解は…
「メム」です。
次はこれ。
オセアニア・ソロモン諸島のサヴォサヴォ語で
「ボボラガ」と「セレ」は、どちらが黒で白でしょう?
正解は…
「ボボラガ」が黒で、「セレ」が白です。
どうですか。当たりましたか?
「なんとくなくこっちかな?」
というイメージで当たった方もいると思いますが、
この本では、なぜそう思うのか、その理由も分析されていますので、
ぜひ本を読んでお確かめください。
この、音のイメージの話とても面白かったです!
オノマトペの話題のあとにも
「なぜヒトはことばを持つのか?」
「子どもはいかにしてことばを覚えるのか?」
「ヒトとAIや動物の違いは?」
など、興味深い話題が続いていき、言語の本質に迫っていきます。
先ほどご紹介した言語に関するクイズや、子どもの可愛い言い間違いなど、
身近な話題も多いので、読みやすいと思います。
『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』は、
それこそ「ワクワク」しながら読めた、大変興味深い一冊でした!
特にオノマトペの分析は面白かったです。
オノマトペがなぜ通じるのか、今まであまり意識してこなかったのですが、
この本を読んだことで、オノマトペに興味を持ちました。
そういえば、今や「普通のことば」になっているものにも
元オノマトペが潜んでいるそうですよ。
例えば「たたく」は、「タッタッ」というオノマトペだったのだとか。
この先もオノマトペ発の新語がうまれそうですね!
今回私が取り上げた内容はほんの一部です。
ぜひあなたも本を読みながら、気付きや驚きを味わってみてください。