『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』
2024年4月17日
先週は、本屋大賞受賞作、
宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)
をご紹介しました。
◎私の紹介は コチラ
あなたはもう読んだかな?
本屋大賞は、まず10作品がノミネートされ、
最終的に1位から10位までが決まります。
本屋大賞は、大賞受賞作品だけでなく、上位10作品どれも面白いので、
私も毎年発表を楽しみにしています。
その中から今日は、本屋大賞で9位となった作品をご紹介します。
『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』
作:知念実希人
絵:Gurin.
ライツ社
この本は、児童書です。
児童向けの読み物が選ばれたのは、史上初なんですって。
おめでとうございますー!
著者の知念実希人さんと言えば、
この作品をはじめ、これまで5回本屋大賞に作品がノミネートされている他、
『祈りのカルテ』や『となりのナースエイド』など、
様々な作品が映像化されている人気のミステリ作家です。
また、お医者さまでもあります。
『放課後ミステリクラブ』は、知念さんが初めて、
子どもたちのために本気で書いたという本格児童書ミステリです。
「読書は楽しい」ということを子どもに知ってほしい、
と思ってお書きになったそうですよ。
そう、読書は楽しいのです!
それをわかっていただくには、
やはり本を読んでみずから「面白い!」と思って頂くのが一番です。
この「放課後ミステリクラブ」は、
初めてミステリに触れるのにピッタリだと思います。
登場人物は子どもたちが中心で、殺人事件もありません。
また、挿絵も豊富ですし、漢字にはすべてフリガナがついていますので、
お子さんでも安心して読むことができます。
なお、対象は9歳からですが、内容は本格的なので大人が読んでも楽しめます。
それもそのはず。
知念さんは、「大人のミステリ小説とまったく同じ手法で書いた」そうですよ。
***
さて、『放課後ミステリクラブ 1金魚の泳ぐプール事件』は、
まさにタイトルの通り、学校のプールに金魚が放たれるところから始まります。
そこで4年1組の3人、通称「ミステリトリオ」の3人が、
先生からの依頼で事件の謎に挑むことになります。
果たして誰が何のために、学校のプールに金魚を放ったのか。
この続きは、ぜひ本を読んでお楽しみください。
この本は挿絵が豊富で、キャラクターたちはカラーで紹介されているので、
頭の中で映像を浮かべやすいのです。
また、色鮮やかな金魚も美しく、すうっと物語の世界に入り込めました。
小学生の時にこの本を読んでいたら、きっとはまっていたように思います。
ちなみに、この「放課後ミステリクラブ」シリーズは、
すでに『2 雪のミステリーサークル事件』『3 動くカメの銅像事件』
の3巻まで出ているそうですので、あわせてお楽しみください。
なお、シリーズ累計の発行部数は12万部を突破したそうです。
ところで、「ライツ社」は、2016年に創業した新しい出版社です。
ジャンルにとらわれることなく、
自分たちが本当におもしろいと思う本だけを出版しているそうですよ。
本の中に「ライツ社からのおたより」が入っていたのですが、
ここに書かれた文章が良くて、思わず読書をいったん中断し、
「おたより」もしっかり読んでしまいました。
まさに「お知らせ」ではなく、
人のぬくもりを感じる「おたより」でした。
「ライツ社」の他の本もチェックしてみようっと。
それにしても、今年の本屋大賞の上位10作品は、
バラエティに富んでいて面白いなー。