ブログトップページはコチラ

『成瀬は天下を取りにいく』

2024年4月10日

今日の午後、本屋大賞が発表されました。

本屋大賞は、書店員の投票だけで選ばれる賞です。

過去一年の間、書店員自身が自分で読んで
「面白かった」、「お客様にも薦めたい」、「自分の店で売りたい」
と思った本を選んで投票するものです。

事前に上位10作品がノミネート作品として発表されますので、
書店員で無くても大賞を予想することができます。

私もこれまで半分の5作品をラジオでご紹介しました。
その中から私が予想したのは、
津村記久子さんの『水車小屋のネネ』
塩田武士さんの『存在のすべてを』でしたが、
果たして受賞となったのでしょうか。

それでは、発表します!

2024年本屋大賞は…

宮島未奈さんの『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)

でした。

宮島さん、おめでとうございます〜!

ちなみに私が予想した
『水車小屋のネネ』は2位、
『存在のすべてを』は3位でした。

◎本屋大賞のサイトは コチラ

『成瀬は天下を取りにいく』は、宮島さんのデビュー作なのですが、
本に関する賞をなんと13個も受賞しています。
中でも「中高生におすすめする司書のイチオシ本」をはじめ、
中高の学校の関係者から高い評価を受けています。

というのも主人公が中学生なのです。

今日は、今年の本屋大賞受賞作をご紹介します。

実は前から今日はこの本を紹介しようと決めていたところ、
まさかの大賞受賞となったのでした。

本屋大賞発表の日の紹介なら
ノミネート作品の中から未読の本を選ぼうと思い、
この話題作に決めたのですが、
まさか大賞を受賞するとはびっくりです。
でもバッチリのタイミングとなりました。

さて、『成瀬は天下を取りにいく』は、
「成瀬あかり」という14歳の中学生の物語で、舞台は滋賀県大津市です。
様々な人の視点で物語が進んでいく連作短編集で、
最初は成瀬の友人の島崎みゆきの視点で始まります。

島崎によると、成瀬はスケールの大きな宣言を次々にしていくそうです。
たとえば、成瀬の将来の夢は「二百歳まで生きること」です。

ちなみに、目標に届かなくても成瀬は落ち込みません。
なぜなら、大きなことを百個言って一つでも叶えたら、
「あの人すごい」となるから、だそうです。

いつも突拍子もないことを言い出す成瀬は、
中2の夏休みの始まりには、
「私はこの夏を西武に捧げようと思う」と宣言します。

西武とは、かつて富山にもあったデパートのことです。
彼女たちが住む滋賀県大津市にある西武が
一ヶ月後の八月三十一日に営業が終了することを知った成瀬は、
毎日西武に通って、地元のローカル番組の生中継に映り込むと言い出します。

西武に夏を捧げた成瀬は、
秋には「わたしはお笑いの頂点を目指そうと思う」と宣言します。
なんとこの挑戦に友人の島崎も巻き込まれ、
一緒にM-1グランプリに挑むことになってしまいます。

こんな感じで成瀬は、人の目なんて気にせず、
自分がこれだと思った道を全力で突き進んでいきます。

ですが、成瀬は挑戦したことすべてが成功するとは思っていません。
だからと言って、最初からあきらめているわけでもありません。
また、たとえできなかったとしても、そのことを無駄だとは思いません。

成瀬は「挑戦した経験はすべて肥やしになる」と言います。

ううう。10代でその考えを持てるなんて、すごいよ、成瀬!

誰だって失敗はしたくないものです。
でも、失敗を恐れていたら何もできないですものね。

この本を読んだ人は成瀬のファンになってしまうそうですが、私もその一人です。
いつでも堂々としている成瀬、かっこよすぎます。
成瀬には二百歳まで生きてほしい!

中学生の物語と聞くと、
大人の皆さんは手に取りづらいと思うかもしれませんが、
そんなことはありません。

なんならこれまで色々経験してきた大人のほうがより心に響くかもしれません。

大変面白かったので、この先の成瀬のことも知りたいなあと思ったら、
なんと続編が出ていました!

『成瀬は信じた道をいく』

わーい!近々読もうと思います。

あらためて、『成瀬は天下を取りいく』、
「2024年本屋大賞」受賞、おめでとうございます!

yukikotajima 2:33 pm