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『ユリイカの宝箱 アートの島と秘密の鍵』

2024年3月13日

いよいよ今度の土曜日、3月16日に北陸新幹線が
福井県の敦賀まで延伸されます。

近いうちに新幹線に乗って福井をはじめ、関西方面に行きたい、
と考えている方もいるかもしれません。

春ですし、旅に行きたくなりますよね!
あなたはどんな旅をしたいですか。

私は、旅先ではその土地の美味しいものやお酒を味わうのはもちろん、
アートを見るのが好きなので、美術館にも行きたいです。

今日ご紹介する本は、アート旅をしている気分になれる一冊です。

『ユリイカの宝箱 アートの島と秘密の鍵』
一色さゆり
文春文庫

一色さんは、2015年に第14回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞し、
翌年に受賞作『神の値段』でデビューされました。

東京藝術大学を卒業後、ギャラリー・美術館勤務を経て、作家になったそうで、
これまで数々のアート小説をお書きになっています。

今回の作品も、まさにアート小説です。

本の帯には「あなただけのアートの旅にご案内します」とあり、
その一行を目にしただけで、ワクワクしました。

主人公は、仕事を失ったばかりの女性の優彩(ゆあ)です。
ある日、彼女のもとに見知らぬ旅行会社から
「アート旅」のモニター参加の招待状が届きます。
だまされているのかもしれないと思いながらも
待ち合わせ場所の空港に行ってみれば、
ツアーガイドの桐子が待っていて、無事、旅が始まります。

二人が向かったのは、瀬戸内海の直島です。

空港を出て、リムジンバスに乗って、窓の外の景色を見ているうちに、
私は本を読んでいることを忘れて、
二人と一緒に旅をしている気分になっていました。
直島、とてもいいところでした。(笑)
まあ、実際のところ訪れたことは無いんですけどね。

また、直島以外のアート旅も良かったです。

物語は、4つのお話が収録された連作短編集で、
桐子が勤める旅行会社のアート旅に参加した4組の旅行客たちが登場します。

旅行客たちは、それぞれに悩み抱えています。
結婚する相手を間違えたかな…とか、
何をやってもうまくいかないなあとか。

でも、彼らはアート旅を通して、気持ちに変化が生じます。
それもいい変化が。

旅の楽しみ方について、ガイドの桐子がこんなことを言っています。

想像もしなかった興味深いことに出会える。
そういうユリイカな瞬間を味わっていただきたい。

ちなみに、「ユリイカ」とは、
ギリシャ語で「わかった」と言う意味の、
ひらめいた瞬間を指す言葉だそうです。

桐子のアート旅に参加した旅行客たちも、
その「ユリイカ」な瞬間に出会います。

旅は旅でも、今回は「アート旅」です。

私もアート好きなので、
旅行客たちが、様々なアートをきっかけに
「わかった!そういうことか!」と、
大切なことに気付くのが嬉しく、私も幸せな気持ちになりました。

私にとって、お気に入りの一冊になりました。
いつか、この本を手に同じルートでアート旅をしてみたいな。
文庫なので旅のお供にもぴったりです。

なお、アート旅に興味はあるものの
アートはそんなに詳しくないという方でもご安心ください。

実際この本に出てくる旅行客たちも初心者ですし、
桐子さんという頼れるガイドさんもいますので、安心して楽しめます。

ぜひあなたもアート旅をしている気分で、この本を読んでみてください。

本を読んだ後は、いい旅から帰ってきたあとのような
満たされた気持ちになっていると思いますよ。

この本、シリーズ化してくれいないかなあ。
桐子のアート旅にもっと参加したい!

yukikotajima 12:09 pm