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『エヴァーグリーン・ゲーム』

2023年12月6日

冬はクリスマスにお正月と、人が多く集まる季節です。
お家で食事やお酒を味わいながらお喋りをして、
しばらくするとオセロなどのボードゲームを始める方もいるかもしれません。

ボードゲームというと最近は将棋が人気ですが、
あなたは「チェス」をやったことはありますか。

今日ご紹介する本は、チェスに魅了された4人の若者たちの物語です。

『エヴァーグリーン・ゲーム』
石井仁蔵(いしい・じんぞう)
ポプラ社

第12回ポプラ社小説新人賞受賞作です。
そして、今日は12月の第1水曜日ですので、
明文堂書店 富山新庄経堂店 文芸書担当 野口さんのオススメ本です。

野口さんから「新人さんなんだけど、めちゃくちゃ面白いの!!!」
と今回もかなりの熱量ですすめられました。

しかし、私、チェスをしたことも無ければ、ルールもわからなかったので、
小説を読む前に、YouTubeでチェスのルールを予習してみました。
頭の中でイメージしやすくなりました。

ですが、チェスのルールを知らなくても全く問題ありません。

それにチェスの基礎は小説からも学べます。
また、読んだ後は、きっとチェスのことをもっと知りたくなると思います。
私は実際にチェスをしてみたくてたまりません。
そして、ある程度チェスができるようになったら、
もう一度この小説を読んでみたいとも思っています。

***

『エヴァーグリーン・ゲーム』は、
チェスに魅了された4人の若者たちによる連作短編集です。

まず、難病で入院生活を送っている小学生男子から始まり、
進学校のチェス部に所属している男子高校生、全盲の少女、
そして、少年院を出たのちアメリカへ渡った天涯孤独の男性へと続いていきます。

彼らは皆それぞれチェスに出会い、その面白さにはまっていきます。
そして、チェスプレイヤー日本一を決める
チェスワングランプリに挑むことになります。

大変面白かったです!

チェスに出会い、打ち込んでいく彼らが
どんどん輝いていく様のなんとまぶしいことか。

主人公が1人なら、その人を応援したくなるものですが、
この物語はメインとなる人物が4人いて、
それぞれに魅力的なので、全員を応援したくなります。
だからこそ、最後に誰が勝つのか、気になって仕方ありませんでした。
誰が勝っても嬉しいし、負けても悔しいという複雑な気持ちで、
読みながらずっとドキドキしっぱなしでした。

また、それぞれの物語がゆるやかに繋がっていくのも魅力的でした。
主な4人以外の登場人物たちの存在も大きく、物語をさらに面白くしています。
そういう意味では、主な4人だけでなく、登場人物全員の物語として楽しめました。

最後に、明文堂書店 富山新庄経堂店 野口さんのコメントをご紹介します。

「純粋に、ただひたむきに、好きなことに向き合う気持ちが、
真っ直ぐに伝わるとてもいい小説でした。
チェスは、まさにスポーツ!
対局シーンは、息を呑むほどに緊迫感に満ちています。
しかも、登場人物一人一人がとても魅力的、かつカッコイイです。
大型新人の予感しかありません!」

そうなんですよ。
最初に私はチェスをボードゲームと紹介しましたが、
チェスはスポーツなんですよ。
その理由は、ぜひ本を読んでお確かめください。

今日ご紹介した『エヴァーグリーン・ゲーム』は、
富山県内の明文堂書店全店「ヨリミチトソラ ゆきれぽコーナー」にあります。

◎明文堂書店のサイトは コチラ

また、野口さんが、明文堂書店富山新庄経堂店の中に、
「ヨリミチトソラ」の本棚を作ってくださいました。
お馴染みのコーナーとは別に、です。うれし〜〜〜。
この本棚では、この一年ラジオで紹介してきた本を見つけることができますよー。

yukikotajima 11:25 am