いわさきちひろピエゾグラフ展
2023年8月10日
最近何かとあわただしく、心にも余裕がなくなりかけていたのですが、
昨日、ある場所に行ったら、心の乱れも整って、優しく穏やかな気持ちになれました。
私が癒されたのは、淡くやわらかな色合いの子どもの絵で知られる
画家のいわさきちひろさんの絵です。
ちひろの絵は、きっとどこかで目にしているのでは?
私は、黒柳徹子さんの『窓ぎわのトットちゃん』の印象が強いです。
また、母がちひろの絵が好きだったので、
子どもの頃から絵本でちひろの絵を見ていました。
今、上市町の西田美術館では、
上市町新町制70周年、西田美術館開館30年を記念した
「いわさきちひろピエゾグラフ展 ちひろの描いた世界と日本のおはなし」
がおこなわれています。
ピエゾグラフとは、精巧な印刷技術によって、
原画に近い状態でデータ化して印刷したもので、
ちひろの繊細な水彩画を原画と見分けがつかないほどに再現しています。
なぜピエゾグラフにしたのかというと、
当時の紙質が悪く劣化を避けられないことから、
最新の印刷技術によって、ちひろの水彩画を復元したのだとか。
正直、間近で見ても復元だなんてわかりません。どう見ても本物の風合いでした。
今回は、ちひろが絵を描いた様々なおはなしの絵本、
例えば、『つるのおんがえし』『おやゆび姫』『にんぎょひめ』の他、
宮沢賢治の文に絵をつけた『花の童話集』や、
ちひろが文も書いた作品など、50点が展示されています。
また、会場には絵本もありますので、椅子に座ってじっくり読むことができますし、
会期中、毎週土日の14時〜は絵本読み聞かせイベントが行われているそうです。
(ただし、お休みの日もありますので、詳しくはホームページでご確認ください)
私も実際ベンチに座って絵本を読んでみましたが、
その時間だけでもだいぶ心な和みました。
今回、西田美術館 の熊本明子さんに解説をしていただいたのですが、
「ちひろの絵を見てほっとするのは、
絵本を読んでいた当時のことを思い出させてくれるからではないか」
とおっしゃっていたのが印象に残りました。
その一方で、この企画展では、
ちひろがどのようにして絵本画家になっていったのか
を紹介しているのもポイントです。
例えば、力強さを感じる30歳の頃の自画像のスケッチは、
小さい時から画家を目指していたものの、戦争によってその夢が閉ざされ、
戦後にもう一度、画家としてやっていきたいと決意した時に描かれたそうなのですが、
力強いタッチで、他の水彩画とはだいぶ印象が異なりました。
ちひろについては、映像でも知ることができます。
会場の2階では、ちひろ美術館 館長の黒柳徹子さんが
ちひろの知られざる一面を語る映像が上映されていますので、ぜひご覧ください。
また、その2階に向かう途中の階段の踊り場の壁には
「ちひろ美術館」の動画が流れていまいして、そこで写真が撮れます。
今回、「いわさきちひろピエゾグラフ展」を見て、
ちひろの絵に癒されたのはもちろん、絵の美しさやうまさにも気付かされました。
例えば、海を描いた絵などは、一見簡単に描いているように見えて
とても繊細に描き分けているのがわかり、
子どもたちの絵もいいけれど、風景もいいなあと思いました。
ぜひみなさんもじっくり鑑賞してみてください。
「いわさきちひろピエゾグラフ展 ちひろの描いた世界と日本のおはなし」は、
上市町の西田美術館で9月3日(日)までの開催です。
会場では、絵本やポストカードのほか、
ご要望の多かった来年のカレンダーも
特別に今週末あたりから先行販売されるそうですよ。
また、8月26日(土)には、ちひろ美術館 学芸員の松方路子さんによる
ギャラリートークもあります。
詳しくは、西田美術館のホームページでご確認ください。
◎西田美術館のサイトは コチラ
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