「花のお江戸ライフ—浮世絵にみる江戸っ子スタイル」
2023年5月24日
ちょうど今の時期は、旅行をするのにいい季節ですよね。
ガイドブックを手に旅の計画を立て、
旅先では、その土地の名物を食べたり、お土産を買ったり、景色を楽しんだり。
想像しただけでもワクワクしてきますが、
そんな旅の楽しみ方を、江戸時代の人たちも同じようにしていたようですよ。
現在、富山県水墨美術館では、
企画展「花のお江戸ライフ—浮世絵にみる江戸っ子スタイル」を開催中です。
浮世絵を通して、当時の江戸っ子たちが
何に夢中になっていたかを紹介する展覧会なのですが、
まるで私自身が江戸時代にタイムスリップしたかのような気分で楽しめました。
それこそ気分は江戸っ子でした(笑)
展示室はもちろん静かだし無臭なのだけど、
展示作品を見ていると、人の話し声や動物の鳴き声が聞こえてきたり、
美味しそうな料理の匂いがしてきたりしました。
***
「浮世絵」と言うと江戸時代を代表する芸術ですが、
当時は広く庶民に支持されたメディアだったそうです。
例えば、歌川広重の「東海道五拾三次」は、
今の観光ガイドブックや観光情報を紹介するサイトのようなものだったのですって。
江戸っ子たちは、広重の浮世絵を見ながら
「私も旅に行きた〜い!」と思っていたのですね。
そもそも浮世絵は、17世紀後半に始まり、
最初は美人画、役者絵が主なテーマとして描かれ、
18世紀後半に喜多川歌麿や東洲斎写楽らが登場し、黄金期を迎え、
19世紀に入ってから庶民の娯楽の対象が広がったことで、
様々な浮世絵が描かれるようになったそうです。
この展覧会では、そんな当時の江戸っ子たちが夢中になったものを
浮世絵を通して知ることができます。
ちなみに、江戸っ子たちが当時はまったのは、
旅行、メイク、ペット、グルメ、ガーデニングなどです。
今の私たちとまるで同じです。
会場では、これらを描いた浮世絵がテーマごとに展示されています。
絵師もすごい顔ぶれでして、葛飾北斎、歌川広重などの作品が約150点も並んでいます。
様々な作品の中で私が印象に残ったのは、
着飾った姿ではなく、家にいる時の素の女性の姿です。
歯磨きや、足の指の爪を切っているところ、
毛抜きで眉を整えている姿などが描かれていまして、
これはまるで家での私じゃないか!と思わず心の中で突っ込んでしまいました。
よそゆきではなく、普段の様子を切り取っているのがいいのです。
他には、銭湯で喧嘩をしている女性たちや、
居眠りをしている男性の顔に落書きをしている女性、
噂好きの女性が誰かの話に聞き入っている様子なども躍動感があって楽しかったです。
また、動物が描かれた作品もたくさん展示されていました。
当時、人気のペットは、犬と猫と金魚だったそうですよ。
中でも金魚の入った金魚玉(ガラス製の容器)を持つ女性の絵を
浮世絵師はよく描いていたそうです。
実際、絵の中の金魚を見つめる女性たちは嬉しそうな表情をしていまして、
これは描きたくなるのもわかるわと納得。
私、作品に描かれた人の表情を見るのが好きなんですよねえ。
特に複数の人が描かれた作品は、
面白い表情をしている人や、ふざけている人もいて、とても楽しいのです。
ぜひ皆さんも作品をじっくりご覧になってみてくださいね。
なお、会場では、浮世絵の他にも、
肉筆画や、当時の食べ物を再現した食品サンプル、
また、15年前に富山市の民家で発見された版木も特別に展示されていますので、
浮世絵とあわせてお楽しみください。
「花のお江戸ライフ—浮世絵にみる江戸っ子スタイル」は、
富山県水墨美術館で6月25日(日)までの開催です。
あなたも江戸っ子気分で江戸にタイムスリップしてみては。
◎富山県水墨美術館のサイトは コチラ
今回は図録もゲットし、家でも楽しんでいます。
・