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生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ

2023年4月26日

今日はアートの話題です。
先日、富山県美術館で版画家の棟方志功の世界観を堪能してまいりました。

現在、富山県美術館では、開館5周年記念
生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ

を開催中です。

棟方は福光に住んでいたことがありましたので
富山の皆さんにはお馴染みだと思いますが、
学芸員さんによりますと、今回の展覧会には
「新たな棟方志功像を見せられたら」という思いが込められているそうです。

確かに様々な角度から棟方を知ることができました。

棟方志功は「世界のムナカタ」として国際的な評価を得た版画家で、
青森で生まれ、1945年から6年8カ月の期間を福光で過ごしていました。

この企画展では、青森時代から晩年までの活動が
様々な作品や資料と共に紹介されています。

棟方の芸術家としてのスタートは油彩画でした。
雑誌に載っていたゴッホの『向日葵』の絵を見て感動し、
「ゴッホになる」と言って、まずは油彩画家として歩み始めます。

会場には当時の油彩画も展示されています。

※会場内の作品は一部を除いて写真撮影OKでした。

その後、版画に目覚めるのですが、当初はハイカラでおしゃれなデザインなのです。
例えば、ドレスを着た女性の版画などは、言われないと棟方と気づかないほどです。

その後、民芸運動の主導者である柳宗悦と出会った棟方は
仏教や日本文化への理解を深め、
≪二菩薩釈迦十大弟子(にぼさつしゃかじゅうだいでし)≫などを制作します。
こちらは良く知られている棟方の作品ですよね。

戦争中は戦火を逃れ、富山(福光)に移り住みます。
戦争の影響で版木が手に入らなかったことから、
富山時代は、襖絵や書などの筆を使った作品が多く作られたそうです。

会場には、光徳寺の襖絵が展示されているのですが、なんと裏も見ることができます。
表は華厳松ですが、

裏側は明るい色合いのモダンなデザインです。(裏面は通常非公開です!)
どんな襖絵なのかは会場でご確認ください♪

また、版木が貴重だったため、板を残す、
つまり黒い面を残す掘り方に変わっていったそうです。

ちなみに、棟方は自らの木版画のことを「板画(はんが)」と表記していました。
これは「板から生まれる、板による画(え)」であるという思いからきているのだとか。

その後、棟方は国際的な評価を得て「世界のムナカタ」となり、
さらに様々な作品を作っていくことになります。

棟方の作品は、本の装丁や切手、包装紙などにも使われ、
デザイナーとしても活躍していきます。

英語の作品もあるのですが、アルファベットには苦戦したそうで
「S」の表記が間違っている作品もあります。
でも、デザイン性が高いので間違いさえもオシャレに見えます。

世界の美術史を下敷きにしたオマージュ作品もあり、
中には影響を受けたゴッホの「向日葵」も。
なんとこの作品、壺の中に自画像を描いちゃってます!(笑)
どんな作品なのかは会場でお確かめください♪

棟方はこの自画像をたくさん描いたそうで、
会場にも様々な自画像が展示されていました。
ぜひ色々見比べてみてお楽しみください。

他にも、壁一面を使って展示されている巨大な作品など、
展覧会に出品されることがほとんどない作品も会場で見ることができます。

それから、資料の展示もぜひご覧ください。
棟方と言えば、強度の近視のため、
板に顔を近づけて一心不乱に彫っているイメージですが、
展示されていた資料を見ると、丁寧な準備をしていたことがわかります。
感覚的に作品を作っているようで、しっかり計算もされていたのですね。

この展覧会は、棟方がどんな芸術家だったかがわかるだけでなく、
どんな人間だったのか、人柄も伝わってくる展覧会でした。
人間味にあふれていたから、ワクワク楽しみながら鑑賞できたのかもなあ。

あなたも棟方の人柄に触れにお出かけになってみては。

生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ
は、富山県美術館で5月21日(日)までの開催です。

◎富山県美術館の公式サイトは コチラ

それから、何度も言ってますが、富山県美術館は常設展も素晴らしいので、
必ずセットでお楽しみくださいね♪

yukikotajima 11:02 am