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『骨灰』

2023年1月25日

天気予報通り、昨日から富山は大雪となっています。
しばらく雪の日が続きそうですので、お家で過ごされる方も多いのでは。

こんな時こそ読書をしてみませんか。

これまで買ったままになっている積読本を読むのもいいでしょうし、
普段は読まないタイプの本を選んでみるのもいいのでは。

例えば、ホラー小説なんていかがでしょう。

今日ご紹介する本は、去年12月に株式会社KADOKAWAから発売された
冲方丁(うぶかた・とう)さんの『骨灰(こっぱい)』です。

冲方さんは、映画化もされた『天地明察』や『十二人の死にたい子どもたち』
などでおなじみの人気作家です。
また、大人気アニメシリーズの構成や脚本も務めるなど、幅広く活躍されています。

今作は、そんな冲方さんによる初の長編ホラー作品です。

今富山で「白いもの」と言ったら真っ先に「雪」が頭に浮かびますが、
この本を読むと、別のものを思い出すとともに空気の乾燥を感じ喉が渇いてきます。
ですから、本を読む際は必ず水分をご用意の上お読みください。

舞台は東京です。
現在、渋谷駅では工事が行われていますが、
物語の主人公は、その渋谷駅の再開発事業を手掛ける
大手デベロッパーに勤める男性の「松永」です。

松永はTwitterで見つけた工事現場に関するツイートの真偽を確かめるために、
建設現場の地下へ調査に向かいます。

そのツイートとは、『火が出た』『いるだけで病気になる』『人骨が出た穴』
といった悪質なものでした。

地下への階段は真っ暗で、それだけでも怖いのに、
松永をさらに不安にさせたのが、空気の乾燥と嫌な臭いでした。
地下と言ったらじめじめしていそうですが、なぜか異常なほどに乾燥し、
さらに嫌な臭い、例えるなら、人が骨まで灰になるような臭いがしていたのです。

そして松永はついに地下にたどり着きます。
そこは巨大な穴のある不気味な祭祀場で、穴の底では謎の男が鎖でつながれていました。
松永は恐怖を感じながらも男を穴から出してあげたのですが、
その直後から松永の周囲では不思議なことが起こり始めます。

この先、松永にどんなことが起こるのかは、
実際に本を読みながら確かめていただきたいのですが、
この小説は、最初の一行から怖かったです。冒頭からいきなりぞくぞくします。
でも本を閉じようとは思わず、それどころか次々にページをめくってしまいました。

物語は、松永の視点で紡がれているので、
松永が感じた恐怖を一緒に体感しているような気分でした。

いちばん怖かったのは、松永が自身の言動のおかしさに気付いていないことです。
詳しくは言えないのですが、明らかに変なのに、
自分は普通だと思い込んでいるのが恐怖でした。

そして思ったのです。私自身は大丈夫かと。
誰もが自分のおかしさに気付いていないのかもしれない…
と思ったらより怖さを感じました。

そもそも本のタイトルになっている『骨灰』とは何なのか。
ぜひ松永と一緒に探してみてください。

yukikotajima 12:05 pm