『噓つきなふたり』
2022年12月7日
この秋、京都に紅葉を見に行った方もいるでしょうか。
秋の京都は本当に美しいですよね。
私も大好きです。
ところで、あなたが京都に初めて行ったのはいつですか?
私は中学生の時です。修学旅行で行きましたが、
修学旅行で京都に行ったことがある方は多いかもしれませんね。
今日ご紹介する小説は、小学校時代の修学旅行を再現すべく
京都を旅する19歳の女性二人の物語です。
(と言ってもかなりの訳あり旅ですが)
『噓つきなふたり/武田綾乃(KADOKAWA)』
主人公は、親元を離れ東京の寮で生活している19歳の光(ひかり)です。
ある日、小学校の同級生だった琴葉(ことは)と偶然再会します。
二人は小学生五年生・六年生の時に同じクラスでした。
先生にも親にも従順な子供だった光に対し、
琴葉はひねくれた性格の問題児という対照的な二人でしたが、
共に飼育委員になったことで仲が良くなります。
しかし、楽しみにしていた修学旅行の直前に琴葉の転校が決まり、
そのまま二人は離れ離れになってしまうのです。
それから七年が経ち、偶然二人は再会します。
そして、ちょうど二人でいる時に
小学校時代の担任が川に転落したというニュースが飛び込んできます。
動揺する光に琴葉は「私が先生を殺したの」と告白。
その上「京都に一緒に逃げて。行けなかった修学旅行のリベンジも兼ねて」
とお願いされます。
人に対して無害でありたい、善人でありたい、
と思っていた光でしたが、なんと一緒に京都に行くことにします。
そして、二人は当時の修学旅行のしおりに沿って、修学旅行を再現していきます。
ちなみに、光は、先生を殺したのは琴葉ではないと確信していました。
だから光は琴葉と旅に出ることにしたのですが、果たして事件の真相とは。
そして久しぶりに再会した二人の旅はどうなるのか。
この続きは、ぜひ本を読んで確かめてみてください。
✴︎✴︎✴︎
とても面白かったです!
久しぶりに再会した二人の距離感が絶妙でした。
二人は仲が良かったとは言え、七年ぶりの再会です。
最初は気をつかっているものの、
旅の間ずっと一緒にいるうちに衝突もしてしまうわけですよ。
お互いむしゃくしゃする感じがとてもリアルで、
ああ、この感覚私も知ってる!と何度も自分と重ねてしまいました。
19歳ってほんと色々悩む年頃なんですよね。
良くも悪くも人からの影響を受けやすい頃でもありますしね。
満たされない思いを抱えていて、ずっと不機嫌で。
でも、いきなり京都に行っちゃうような勢いも時間もある、
というのも若さゆえなのですよね。
久しぶりに再会したタイプの異なる二人の旅はどこに向かうのでしょうか。
そして、本のタイトルにもなっている『噓つきなふたり』とは?
ぜひ二人と一緒に京都を旅してみてください。
本を読んだ後は、本当に京都に行ったあとのような気分になれます。
しかも気分は19歳です。(笑)
10代の自分にも再会できた一冊でもありました。
今10代の方はもちろん、かつての若者たちもぜひ。